2015年 02月 12日
In the Country 来日ツアー終了 |
In the Country 来日ツアーが終了した。
至近距離で聴く横浜Airegin でのライヴは、大変音のいい公演となった。ツアー最終公演ということでバンドも力が入っていたように思う。あれだけの複雑な楽器と機材の組み合わせを使いながら、出てくる音はよく整理され、洗練されている。ノルウェーの音響エンジニアリング界でトップクラスのエンジニアが同行していることもあって、ダイナミック・レンジは広く、それなりの音量だが、各楽器の音のつぶが立っている。もちろん、言わずもがなだが、いわゆるライン系のノイズもマイクを使うことでの問題も一切ない。そういう音響インフラの上に、個々のバンド・メンバーが多彩な色付けを行う。曲の一部には、わざとノイズ系の音を混ぜてベタなデジタル感を削減したり、鍵盤を光学的に読み取るPiano Barという装置を駆使した「ピアノ以外の音の重ね上げ」などこのバンドならではの芸当がある。多分、エレクトロニクスをアコースティック楽器と連動して、過不足なく曲の中に取り込むことに置いては、現在 In the Country の右に出る者はいないのではないか。もはや、「エレクトロニクスとアコースティックの融合」などという初歩的次元は超えている。このバンドではエレクトロニクスとアコースティックが互いに「融通し合って」(普通の意味での融通ではなく、「融けて互いに行き来して通じ合う」)いる。もともと、両者を分離したり、別々に駆動したりするのは音楽をまとめるという意味で本来的に矛盾があったわけだが、それが違和感なく達成されたわけだ。
この部分についてはリーダーの Morten Qvenild の功績大と言わざるを得ない。もう十年以上も前、Susanna & the Magical Orchestra メンバーとして「一人オーケストラ」を標榜したのは、単なるPR上の言葉だけではなかった。それまで、えてしてエレクトロニクスはエフェクト的に取り入れられたり、音の反復(ループ)構築のために利用され、ひどい場合は「キワモノ」的な、或いは省人的取扱い方をされたが、シンプルなヴォーカル曲のバックに散りばめられた不思議なきらめき音の数々が、決して突出せず、抑制が効いていたのは、まさにMorten の技量による。今の In the Country ではグランド・ピアノがピアノとして使われると同時に様々な音色を弾きだすトリガー鍵盤としても活用されており、三人のメンバーによるフィジカルな限界を重層的な音構築で超える基本的な役割を果たしている。
見るたびに Morten の機材は発展しており、今後も目が離せない。もちろん、これは機材云々の話だけではない。それによって紡ぎ出されるマジカルなバンド・サウンドが、聴く者を一種の幻聴状況に置くことを特記しておく。
至近距離で聴く横浜Airegin でのライヴは、大変音のいい公演となった。ツアー最終公演ということでバンドも力が入っていたように思う。あれだけの複雑な楽器と機材の組み合わせを使いながら、出てくる音はよく整理され、洗練されている。ノルウェーの音響エンジニアリング界でトップクラスのエンジニアが同行していることもあって、ダイナミック・レンジは広く、それなりの音量だが、各楽器の音のつぶが立っている。もちろん、言わずもがなだが、いわゆるライン系のノイズもマイクを使うことでの問題も一切ない。そういう音響インフラの上に、個々のバンド・メンバーが多彩な色付けを行う。曲の一部には、わざとノイズ系の音を混ぜてベタなデジタル感を削減したり、鍵盤を光学的に読み取るPiano Barという装置を駆使した「ピアノ以外の音の重ね上げ」などこのバンドならではの芸当がある。多分、エレクトロニクスをアコースティック楽器と連動して、過不足なく曲の中に取り込むことに置いては、現在 In the Country の右に出る者はいないのではないか。もはや、「エレクトロニクスとアコースティックの融合」などという初歩的次元は超えている。このバンドではエレクトロニクスとアコースティックが互いに「融通し合って」(普通の意味での融通ではなく、「融けて互いに行き来して通じ合う」)いる。もともと、両者を分離したり、別々に駆動したりするのは音楽をまとめるという意味で本来的に矛盾があったわけだが、それが違和感なく達成されたわけだ。
この部分についてはリーダーの Morten Qvenild の功績大と言わざるを得ない。もう十年以上も前、Susanna & the Magical Orchestra メンバーとして「一人オーケストラ」を標榜したのは、単なるPR上の言葉だけではなかった。それまで、えてしてエレクトロニクスはエフェクト的に取り入れられたり、音の反復(ループ)構築のために利用され、ひどい場合は「キワモノ」的な、或いは省人的取扱い方をされたが、シンプルなヴォーカル曲のバックに散りばめられた不思議なきらめき音の数々が、決して突出せず、抑制が効いていたのは、まさにMorten の技量による。今の In the Country ではグランド・ピアノがピアノとして使われると同時に様々な音色を弾きだすトリガー鍵盤としても活用されており、三人のメンバーによるフィジカルな限界を重層的な音構築で超える基本的な役割を果たしている。
見るたびに Morten の機材は発展しており、今後も目が離せない。もちろん、これは機材云々の話だけではない。それによって紡ぎ出されるマジカルなバンド・サウンドが、聴く者を一種の幻聴状況に置くことを特記しておく。
by invs
| 2015-02-12 14:02
| In the Country