2016年 05月 13日
Susanne Abbuehl - ツアー三日目 |
Susanne Abbuehl 日本ツアーは三回目のライヴを迎えた。今夜は東京代官山の「晴れたら空に豆まいて」が会場だ。
来日ツアー詳細
ライヴ映像、音
昨夜の上越市での公演はマジカルだった。浄興寺は高田の市街地の外れ近くにある。昼間でもほとんど騒音らしい騒音がない、とても静かな環境だ。夜ともなれば寺裏などにいる蛙の鳴き声に包まれる。その上、昨夜は満天の星空に月も輝き、その雰囲気は格別だった。オープニングの明間原山の尺八が完全な生音で披露されるに至って、その場は絵物語の世界へと近づいた。あとでピアノの Wolfert も話していたが、夢の世界が現出したようだった。
ツアー初日、横浜 Airegin公演のとき、Susanne はステージ上で、自分がスイスの田舎の出身で子供時代は山や湖など自然とともに育ったこと、また、自然と一体となることが大切だと語っていた。演奏で規則的な拍数を刻むスタイルよりもルバート的なアプローチを好むのはそのためだろう。CD の音は ECM レーベルの特異なプロダクション方針もあって、どちらかといえば本来の彼女よりクールな感じが強調されている。実際のSusanne の声を聴いていると、極めて自然に忠実な、それも近代ヨーロッパが定義する自然よりはアニミズムに近い自然が感じられる。歌声にはヴィブラートをかけない。曲のテーマにも風とか雲とかがあり、自然現象に興味があることがわかる。ステージで風の音、鳥の声、海の波音など擬音を発声するのもそのせいだろう。そういう意味で根底にアニミズム的思考を持つ日本との親和性は高い。西行の和歌を好むのがわかる気がする。
まず自然への愛と畏敬があり、その上に詩が生じ、それを歌にする。それがSusanne ではなかろうか。
上越へは車で向かったのだが、新緑に輝く山々を眺めるルートは、とりわけ彼女に自然への思いを蘇らせたようだった。そこかしこに藤の花が咲き乱れる道なりは世界に誇れる日本の美だ。
今日の「自然」はどこに向かうか。今夜が楽しみだ。 photo: Pia Neuenschwander
来日ツアー詳細
ライヴ映像、音
昨夜の上越市での公演はマジカルだった。浄興寺は高田の市街地の外れ近くにある。昼間でもほとんど騒音らしい騒音がない、とても静かな環境だ。夜ともなれば寺裏などにいる蛙の鳴き声に包まれる。その上、昨夜は満天の星空に月も輝き、その雰囲気は格別だった。オープニングの明間原山の尺八が完全な生音で披露されるに至って、その場は絵物語の世界へと近づいた。あとでピアノの Wolfert も話していたが、夢の世界が現出したようだった。
ツアー初日、横浜 Airegin公演のとき、Susanne はステージ上で、自分がスイスの田舎の出身で子供時代は山や湖など自然とともに育ったこと、また、自然と一体となることが大切だと語っていた。演奏で規則的な拍数を刻むスタイルよりもルバート的なアプローチを好むのはそのためだろう。CD の音は ECM レーベルの特異なプロダクション方針もあって、どちらかといえば本来の彼女よりクールな感じが強調されている。実際のSusanne の声を聴いていると、極めて自然に忠実な、それも近代ヨーロッパが定義する自然よりはアニミズムに近い自然が感じられる。歌声にはヴィブラートをかけない。曲のテーマにも風とか雲とかがあり、自然現象に興味があることがわかる。ステージで風の音、鳥の声、海の波音など擬音を発声するのもそのせいだろう。そういう意味で根底にアニミズム的思考を持つ日本との親和性は高い。西行の和歌を好むのがわかる気がする。
まず自然への愛と畏敬があり、その上に詩が生じ、それを歌にする。それがSusanne ではなかろうか。
上越へは車で向かったのだが、新緑に輝く山々を眺めるルートは、とりわけ彼女に自然への思いを蘇らせたようだった。そこかしこに藤の花が咲き乱れる道なりは世界に誇れる日本の美だ。
今日の「自然」はどこに向かうか。今夜が楽しみだ。
by invs
| 2016-05-13 15:34
| Susanne Abbuehl