2010年 01月 25日
Inga Juuso (インガ・ユーソ)& Harald Skullerud (ハラール・スクレルー) 日本ツアー |
Inga Juuso (インガ・ユーソ)& Harald Skullerud (ハラール・スクレルー) 日本ツアーは土曜日に斑尾で終了した。以下、二日目の青山での公演以降を振り返ってみる。
20日、東京公演二日目のInga Juuso (インガ・ユーソ)& Harald Skullerud (ハラール・スクレルー)は力があった。Ingaがみせる裏声のような喉奥で回転するかのような唱法が日本の「こぶし」のようだ。アイヌの歌にも通じる。よく響く、ストレートな声を聞いていると、なぜIngaがノルウェーきっての「伝統的」ヨイク歌手であるかがよくわかる。他のヨイク歌手がかなりの程度「ワールド系」のアプローチを取り入れた歌を歌っているのに比べ、Ingaは伝統曲を中心に、それも元の素材感を保ちながら歌っている。一方、Haraldの方は、会場での巧みなPAエンジニアリングもあり、ベース音とビートの効いたリズムをたたき出し、Ingaの歌う伝統的なヨイクに新鮮でモダンな輝きを与えていた。公演のオープニングはともに強烈な個性を発揮したミキ_サカタとマイヤ・バルーがつとめ、Inga/Harald公演への異空間作りに成功していた。
21日は場所を湯河原へ移した。真鶴駅から車ですぐの檜でできた素晴らしいホールだ。ここでは音の小さなパーカッション用にマイクを一つ使用したほかはすべてマイクなしのアコースティック・コンサートとなった。内装の多くが檜の板なので、響きがとても美しい。Ingaはマイクを意識しないで歌えるので、より動きが自由となった。体全体を使った揺れるような歌い方がヨイクの本来の姿を露にしたようだった。多分、倍音・共振効果だと思うが、ある曲では天井付近から読経のような低音の男性群の声明が忽然と現れ、巻上公一氏と「アッ」と顔を見合わせてしまうという恐るべき一瞬もあった。これまで多くのライヴを経験してきたが、このようなことは初めてだ。公演最後にはオープニングで演奏していただいた巻上氏・牧野氏との倍音づくしの素晴らしいインプロ共演もあり、唯一無二の公演となった。
22日は長野県の飯山市中心街にある土蔵での公演だった。雪の積もる奥信濃、それも100年以上前の土蔵の中とあって趣がある。暖房をしているのだが結構寒い。Ingaと Haraldは二部構成で1時間以上に亘り熱演し、更に会場のお客様とのQ & Aセッションをこなした。ヨイクの本質が見極められそうな、なかなか興味深い受け答えがあったり、Harald が持参したたくさんのパーカッション(アフリカやパレスチナやいろいろな所で仕入れている)を一つづつ説明したりと充実した時間だったように思う。この会場でも、一瞬、超特殊な「第三の唸り声」が天井付近から聞こえてきて驚いた。これもオーヴァートーン効果であろうか。公演はツアー中唯一の完全アコースティック・コンサートだったが、Ingaのヨイクを堪能するにはこれがベストであろう。小さな会場でやるメリットはここにもある。
23日は斑尾だった。スキーリゾートとして、或いはかつてのジャズ・フェスの開催地として知られた場所だ。この日は二回公演があった。演奏はこれまでとは異なり、Haraldのパーカッションによるインプロが大幅に増えた。極小のものからバスドラム(といっても彼は横倒しで使う)まで20種ぐらいの楽器や機材を使っただろうか。それも楽器同士の共鳴や共振を存分に生かしたHaraldならではの演奏だ。バスドラムの上でオルゴールの機械部分のみを共振させたり、カラバスというマリの楽器を叩いて共鳴させたりと、実にユニークだ。Ingaも声にますます張りが出て、これならマイクなしでも大丈夫と思うぐらいだった。多くの方にお集まりいただき、Inga/Haraldも喜んでいた。
24日、斑尾から長野経由で東京へ戻り、そして今日帰国の途に着いた。あっという間の一週間だった。Ingaと Haraldは大変満足して、「また来たい」と言って帰っていった。これも各会場・各公演での大勢の方々のご協力の賜物だ。お世話になった方々にこの場を借りて御礼申し上げる。
20日、東京公演二日目のInga Juuso (インガ・ユーソ)& Harald Skullerud (ハラール・スクレルー)は力があった。Ingaがみせる裏声のような喉奥で回転するかのような唱法が日本の「こぶし」のようだ。アイヌの歌にも通じる。よく響く、ストレートな声を聞いていると、なぜIngaがノルウェーきっての「伝統的」ヨイク歌手であるかがよくわかる。他のヨイク歌手がかなりの程度「ワールド系」のアプローチを取り入れた歌を歌っているのに比べ、Ingaは伝統曲を中心に、それも元の素材感を保ちながら歌っている。一方、Haraldの方は、会場での巧みなPAエンジニアリングもあり、ベース音とビートの効いたリズムをたたき出し、Ingaの歌う伝統的なヨイクに新鮮でモダンな輝きを与えていた。公演のオープニングはともに強烈な個性を発揮したミキ_サカタとマイヤ・バルーがつとめ、Inga/Harald公演への異空間作りに成功していた。
21日は場所を湯河原へ移した。真鶴駅から車ですぐの檜でできた素晴らしいホールだ。ここでは音の小さなパーカッション用にマイクを一つ使用したほかはすべてマイクなしのアコースティック・コンサートとなった。内装の多くが檜の板なので、響きがとても美しい。Ingaはマイクを意識しないで歌えるので、より動きが自由となった。体全体を使った揺れるような歌い方がヨイクの本来の姿を露にしたようだった。多分、倍音・共振効果だと思うが、ある曲では天井付近から読経のような低音の男性群の声明が忽然と現れ、巻上公一氏と「アッ」と顔を見合わせてしまうという恐るべき一瞬もあった。これまで多くのライヴを経験してきたが、このようなことは初めてだ。公演最後にはオープニングで演奏していただいた巻上氏・牧野氏との倍音づくしの素晴らしいインプロ共演もあり、唯一無二の公演となった。
22日は長野県の飯山市中心街にある土蔵での公演だった。雪の積もる奥信濃、それも100年以上前の土蔵の中とあって趣がある。暖房をしているのだが結構寒い。Ingaと Haraldは二部構成で1時間以上に亘り熱演し、更に会場のお客様とのQ & Aセッションをこなした。ヨイクの本質が見極められそうな、なかなか興味深い受け答えがあったり、Harald が持参したたくさんのパーカッション(アフリカやパレスチナやいろいろな所で仕入れている)を一つづつ説明したりと充実した時間だったように思う。この会場でも、一瞬、超特殊な「第三の唸り声」が天井付近から聞こえてきて驚いた。これもオーヴァートーン効果であろうか。公演はツアー中唯一の完全アコースティック・コンサートだったが、Ingaのヨイクを堪能するにはこれがベストであろう。小さな会場でやるメリットはここにもある。
23日は斑尾だった。スキーリゾートとして、或いはかつてのジャズ・フェスの開催地として知られた場所だ。この日は二回公演があった。演奏はこれまでとは異なり、Haraldのパーカッションによるインプロが大幅に増えた。極小のものからバスドラム(といっても彼は横倒しで使う)まで20種ぐらいの楽器や機材を使っただろうか。それも楽器同士の共鳴や共振を存分に生かしたHaraldならではの演奏だ。バスドラムの上でオルゴールの機械部分のみを共振させたり、カラバスというマリの楽器を叩いて共鳴させたりと、実にユニークだ。Ingaも声にますます張りが出て、これならマイクなしでも大丈夫と思うぐらいだった。多くの方にお集まりいただき、Inga/Haraldも喜んでいた。
24日、斑尾から長野経由で東京へ戻り、そして今日帰国の途に着いた。あっという間の一週間だった。Ingaと Haraldは大変満足して、「また来たい」と言って帰っていった。これも各会場・各公演での大勢の方々のご協力の賜物だ。お世話になった方々にこの場を借りて御礼申し上げる。
by invs
| 2010-01-25 23:15
| Juuso /Skullerud