2011年 10月 03日
P.McCandless +古佐小基史公演 感想 |
9/24-25、P.McCandless +古佐小基史公演が新宿 Pit Inn において開催された。
会場は二日間続けてご覧になった方や遠方よりお越しの方、Oregon ファン、古佐小さんの昔からのジャズ仲間などいろいろなオーディエンスで楽しいライヴとなった。

総じて 9/25 の方が音の具合はよかったように思う。もちろん 9/24 も全力演奏には違いなかったが、会場慣れや前日の経験に基づくPA関連の設定や演奏の仕方など細かな改善が功を奏した。
P.McCandlessは本当にブレがない、きれいな演奏だ。透明感のある、ストレートではあってもあけすけでない、内に秘めた熱さというようなものが、最終的に抑制の効いた叙情性となって旋律を豊かなものにしている。古佐小基史はかつてギタリストとして活動したこともあり、とかくクラシックの楽器として見られがちなハープを新次元の楽器として非常にうまく活用していた。
二人の相性もいい。ギタリストとしてRalph Towner を尊敬し、RalphとPaul が参加している バンドOregon の音楽も熟知しているだけあって、古佐小基史の作曲の仕方、演奏スタイルや、音質などは Paul と見事に合っている。Paul もそういう環境が心地よいといった感じで、インプロ部分も含めとても安心して演奏しているように感じた。
曲紹介で、古佐小基史より風景の連想について説明された曲があったが、この二人のデュオには、森や林が広がる、なだらかな起伏が続く陸地のここかしこに川や湖などが点在する風景が似合う。別にアメリカ北西海岸、それこそオレゴン州を想像するわけではないが、太陽が強い乾燥地よりは水の潤いを感じる自然環境が目に浮かぶ。
ハープに関しては、当日はコンサート・クラシック・タイプのものを使用していた。今後、ハープをジャズ的或いはエレクトリック方向で使う場合は、楽器や技術の面で更なる改善がなされることであろう。ハープをこういう音楽で使うことは想定されておらず、楽器的にまだまだクラシックの軛から逃れられない。古佐小基史であれば、持ち前のチャレンジ精神と不屈の努力により、この改善に取り組むことだろう。
マルチ管楽器奏者としての Paul は完成されたスタイルと技術を持ちながらも、そこにとどまらず、ハープとの共演という新たなチャレンジを楽しんでいるようだ。世界中で若いプレイヤー達といろいろな形で共演したりバンドを組んだりしているのは、後進の育成ということも考えているのだろう(実は今週、東京のライヴで Paul と組んで演奏しているという海外のアーティスト二人に二日続けて会った)。Paul と一緒に演奏することにより、いろいろな面で成長することは間違いない。
Pit Inn での二日間は、セットリストが各日変わったこともあったり、二日目に飛び入りでオーボエの Tomoca が参加したり(オーボエ二本とハープの共演は見事だった。全5曲参加)といろいろ楽しませてくれた。オーボエが一本加わることにより、クラシック的なよさが浮き上がったのは予期せぬ収穫だった。ジャンルは本当に関係ない。というか、ジャンルを考えていると新しい発見はない。いいものはどうやってもいいのだ。
P.McCandless +古佐小基史の二人は新しいページを開いている。これから更に大いに期待できるユニットだ。
9/25 セットリスト
前半
Foxing Hour
Spring Waltz
Barking at the Moon
Naked Wonder
On the Way Home
Spirits of Another Sorts
Place in the Heart
後半
Spanish Stairs
Living River
The Silence of a Candle
Idle Talk
Inner Nature
China Roads
Witch-tai-to



photos:前沢春美



P.McCandlessは本当にブレがない、きれいな演奏だ。透明感のある、ストレートではあってもあけすけでない、内に秘めた熱さというようなものが、最終的に抑制の効いた叙情性となって旋律を豊かなものにしている。古佐小基史はかつてギタリストとして活動したこともあり、とかくクラシックの楽器として見られがちなハープを新次元の楽器として非常にうまく活用していた。
二人の相性もいい。ギタリストとしてRalph Towner を尊敬し、RalphとPaul が参加している バンドOregon の音楽も熟知しているだけあって、古佐小基史の作曲の仕方、演奏スタイルや、音質などは Paul と見事に合っている。Paul もそういう環境が心地よいといった感じで、インプロ部分も含めとても安心して演奏しているように感じた。
曲紹介で、古佐小基史より風景の連想について説明された曲があったが、この二人のデュオには、森や林が広がる、なだらかな起伏が続く陸地のここかしこに川や湖などが点在する風景が似合う。別にアメリカ北西海岸、それこそオレゴン州を想像するわけではないが、太陽が強い乾燥地よりは水の潤いを感じる自然環境が目に浮かぶ。
ハープに関しては、当日はコンサート・クラシック・タイプのものを使用していた。今後、ハープをジャズ的或いはエレクトリック方向で使う場合は、楽器や技術の面で更なる改善がなされることであろう。ハープをこういう音楽で使うことは想定されておらず、楽器的にまだまだクラシックの軛から逃れられない。古佐小基史であれば、持ち前のチャレンジ精神と不屈の努力により、この改善に取り組むことだろう。
マルチ管楽器奏者としての Paul は完成されたスタイルと技術を持ちながらも、そこにとどまらず、ハープとの共演という新たなチャレンジを楽しんでいるようだ。世界中で若いプレイヤー達といろいろな形で共演したりバンドを組んだりしているのは、後進の育成ということも考えているのだろう(実は今週、東京のライヴで Paul と組んで演奏しているという海外のアーティスト二人に二日続けて会った)。Paul と一緒に演奏することにより、いろいろな面で成長することは間違いない。
Pit Inn での二日間は、セットリストが各日変わったこともあったり、二日目に飛び入りでオーボエの Tomoca が参加したり(オーボエ二本とハープの共演は見事だった。全5曲参加)といろいろ楽しませてくれた。オーボエが一本加わることにより、クラシック的なよさが浮き上がったのは予期せぬ収穫だった。ジャンルは本当に関係ない。というか、ジャンルを考えていると新しい発見はない。いいものはどうやってもいいのだ。
P.McCandless +古佐小基史の二人は新しいページを開いている。これから更に大いに期待できるユニットだ。
9/25 セットリスト
前半
Foxing Hour
Spring Waltz
Barking at the Moon
Naked Wonder
On the Way Home
Spirits of Another Sorts
Place in the Heart
後半
Spanish Stairs
Living River
The Silence of a Candle
Idle Talk
Inner Nature
China Roads
Witch-tai-to




by invs
| 2011-10-03 10:25
| P.McCandless+古佐小基史