2013年 01月 07日
Ulrike Haage + Eric Schaefer 館林公演 - 感想 |
これも遅くなったが、12/12 に館林で行われたUlrike Haage + Eric Schaefer 公演の感想を掲載する。
会場となったのは「ロートルメゾン 西ノ洞」というレストラン・カフェだが、ここは単なる飲食施設ではない。ホームページで「レストラン&コンサートホール」とうたっているように、昔から内外のアーティストを精力的に呼んでコンサートを開催している。今年、ECM からリーダーアルバム(菊池雅章Trio "Sunrise")を出した菊池雅章もここで演奏している他、海外のジャズバンドもこれまでに多数出演している。天井が高く、石壁と木材をうまく使った内装はアコースティック系の公演には特にフィットしている。
12日の公演は、京都にアーティスト・イン・レジデンスとして3ヶ月にわたって滞在し、制作をしたUlrike Haage (プリペアード・ピアノ)と Eric Schaefer(ドラム/パーカッション)による日本滞在最後のライヴだった。彼らは来日する前、日本で採録した環境音を利用したプログラムを予定していたが、滞在中に様々な経験を重ね、結局はピアノとドラム/パーカッションだけで演奏し、PC などのエレクトロニクスは使わないという判断をしている。実際、ライヴを聴いてみると、アコースティック楽器のみによるデュオのセットは作曲された部分とインプロの部分が過不足なく合わさり、エレクトロニクスを必要としない出来栄えであった。
12日当日は、滞在中に二人で作曲した新曲が初めて「世界プレミア」として演奏された。どのアーティストの場合もそうだが、初演に遭遇するのは実に興味深く楽しいものだ。それまで、アーティスト自身も人前で演奏したことがないものを、初めて聴くことができる。アーティスト側も果たしてこの曲がうまく演奏でき、かつ好意的に聴いてもらえるのだろうかと思っている。双方に適度の緊張感がある。
Ulrike Haageはドイツで劇関係やラジオでの仕事も多く、そのせいか作曲した曲は「何かがストーリーを持って行われている」という雰囲気が漂う。それはダンスかも知れないし、それこそシリアスな劇かも知れない。そこにインプロはじめ、フリーなジャズ系の演奏を数多くこなしているEric Schaefer の演奏がからむ。Eric の方はステージで今まさに目の前でライヴが展開されているという、そのままの緊張感をこのデュオのセットでも導入してくる。Ulrike がフィクション的アプローチをほのめかす一方、Eric がノン・フィクションで叩くという、そういうイメージだろうか。対照的な二人がデュオを組み、かつそれを京都で制作した上で館林でプレミアするのだ。このあたりは音楽好きの人にはとても深いものがある。

当日は、プレミアに加えてもう一つ重要な演奏があった。それは"Suiruon" と "Tatsune" というパーカッションによるソロが大幅に取り入れられたことだ。館林の近くに足利という場所があるが、そこに住んでいる篠崎氏が製作した陶製の楽器「水留音」と「龍音」はEric のお気に入りの楽器だ。Eric の手にかかると、これらの楽器は随分と素朴で原始的な音を響かせる。「和の楽器」というよりは、むしろ、「和になる前の古代人」の音がする。弥生よりは縄文、もっと言えば先土器文化の音だ。来場された方も神秘的でスピリチュアルな感じがしたと言われていた。Eric は今後もこれらの楽器の演奏を通じ、様々な音を届けてくれるに違いない。
Ulrike Haage+Eric Schaeferのデュオは来日前から日本びいきだったが、今回の滞在を通じて更に日本について理解を深めたようだ。これからも日本に来たいと言って帰っていった。ドイツの海外での文化活動を担うドイツ文化センターのサポートにより実現した今回の公演は、間違いなく独日両国の更なる相互文化理解を促進したといえよう。
会場となったのは「ロートルメゾン 西ノ洞」というレストラン・カフェだが、ここは単なる飲食施設ではない。ホームページで「レストラン&コンサートホール」とうたっているように、昔から内外のアーティストを精力的に呼んでコンサートを開催している。今年、ECM からリーダーアルバム(菊池雅章Trio "Sunrise")を出した菊池雅章もここで演奏している他、海外のジャズバンドもこれまでに多数出演している。天井が高く、石壁と木材をうまく使った内装はアコースティック系の公演には特にフィットしている。
12日の公演は、京都にアーティスト・イン・レジデンスとして3ヶ月にわたって滞在し、制作をしたUlrike Haage (プリペアード・ピアノ)と Eric Schaefer(ドラム/パーカッション)による日本滞在最後のライヴだった。彼らは来日する前、日本で採録した環境音を利用したプログラムを予定していたが、滞在中に様々な経験を重ね、結局はピアノとドラム/パーカッションだけで演奏し、PC などのエレクトロニクスは使わないという判断をしている。実際、ライヴを聴いてみると、アコースティック楽器のみによるデュオのセットは作曲された部分とインプロの部分が過不足なく合わさり、エレクトロニクスを必要としない出来栄えであった。
12日当日は、滞在中に二人で作曲した新曲が初めて「世界プレミア」として演奏された。どのアーティストの場合もそうだが、初演に遭遇するのは実に興味深く楽しいものだ。それまで、アーティスト自身も人前で演奏したことがないものを、初めて聴くことができる。アーティスト側も果たしてこの曲がうまく演奏でき、かつ好意的に聴いてもらえるのだろうかと思っている。双方に適度の緊張感がある。
Ulrike Haageはドイツで劇関係やラジオでの仕事も多く、そのせいか作曲した曲は「何かがストーリーを持って行われている」という雰囲気が漂う。それはダンスかも知れないし、それこそシリアスな劇かも知れない。そこにインプロはじめ、フリーなジャズ系の演奏を数多くこなしているEric Schaefer の演奏がからむ。Eric の方はステージで今まさに目の前でライヴが展開されているという、そのままの緊張感をこのデュオのセットでも導入してくる。Ulrike がフィクション的アプローチをほのめかす一方、Eric がノン・フィクションで叩くという、そういうイメージだろうか。対照的な二人がデュオを組み、かつそれを京都で制作した上で館林でプレミアするのだ。このあたりは音楽好きの人にはとても深いものがある。


Ulrike Haage+Eric Schaeferのデュオは来日前から日本びいきだったが、今回の滞在を通じて更に日本について理解を深めたようだ。これからも日本に来たいと言って帰っていった。ドイツの海外での文化活動を担うドイツ文化センターのサポートにより実現した今回の公演は、間違いなく独日両国の更なる相互文化理解を促進したといえよう。
by invs
| 2013-01-07 19:06
| U.Haage/E.Schaefer