2013年 10月 16日
Eple Trio - 9/7 公演感想 |
9/7、新宿 Pit Inn で行われたEple Trio 公演の感想を書いておく。オープニングはピアノ・ソロを平松良太が演奏した。
平松は日本的音階でスタート、間のとり方は以前から感心していたが、この日もいい具合にインプロが進む。ライヴが全即興であるにもかかわらず、大変作曲心を感じさせる演奏だ。ためた「不安」を不協な音列で表現し、正調和音で「解決」するのは正攻法で、多くのミュージシャンが採用するが、平松の場合はそれが陳腐にならない。清さと正しさが邪念を排し、自己アピールと自我でまみれたよくあるインプロとは完全に一線を画している。
Eple Trio はジャズの典型的トリオ編成をとりながら、ジャズ・トリオの概念を変えるべく演奏している。年齢が近いせいもあるが、バンドのメンバーは息が合い、一体感がある。この日が初日公演で、客席にはノルウェーの著名先輩ミュージシャンが多数いるという、あたかもオーディション風の大変やりにくい環境であったせいか、一部勇み足的演奏もあった。しかしながら、ノルウェー・ジャズ・プレイヤーの層の厚さを如実に感じさせる好演であった。ヴィブラートに味のあるダブル・ベースを弾くSigurd Hole は弓使いもうまい。クラシックでの勉強がものをいう。ピアノの Andreas Ulvo はこの日まったくブルーノートを弾かず、かつ典型的なジャズ的フレーズを避け、代わりに「間」を重視した演奏だった。ドラムのJonas H. Sjøvaagは作曲も担っていることおもあり、リズム・セクションへの貢献だけでなく、ミニ・キーボードを弾いてメロディーへ参加していた。
バンド全体としてクラシックの色があり、牧歌的な風情を漂わせている。ジャズ・トリオの編成をとりながら、ジャズから離れて別の音楽的空間を模索する試みがノルウェーのバンドに増えてきている。Eple Trio もそうだが、アーティスト写真から、雰囲気作り、演奏内容に至るまで、音楽的要素がアメリカかヨーロッパ・オリジンかを問わず、いわゆるジャズ的言語から離れることで新しいイディオムを獲得しようという流れだ。年齢構成から言うとだいたい20代から30代のバンドだ。彼らが、何を生み出すのか、Eple Trio のライヴを見ながら考えた。


photos: 鈴木寛路
平松は日本的音階でスタート、間のとり方は以前から感心していたが、この日もいい具合にインプロが進む。ライヴが全即興であるにもかかわらず、大変作曲心を感じさせる演奏だ。ためた「不安」を不協な音列で表現し、正調和音で「解決」するのは正攻法で、多くのミュージシャンが採用するが、平松の場合はそれが陳腐にならない。清さと正しさが邪念を排し、自己アピールと自我でまみれたよくあるインプロとは完全に一線を画している。

バンド全体としてクラシックの色があり、牧歌的な風情を漂わせている。ジャズ・トリオの編成をとりながら、ジャズから離れて別の音楽的空間を模索する試みがノルウェーのバンドに増えてきている。Eple Trio もそうだが、アーティスト写真から、雰囲気作り、演奏内容に至るまで、音楽的要素がアメリカかヨーロッパ・オリジンかを問わず、いわゆるジャズ的言語から離れることで新しいイディオムを獲得しようという流れだ。年齢構成から言うとだいたい20代から30代のバンドだ。彼らが、何を生み出すのか、Eple Trio のライヴを見ながら考えた。



by invs
| 2013-10-16 13:37
| Eple Trio