2015年 01月 18日
Tord Gustavsen +Simin Tander |
昨夜、オスロのVictoria - Nasjonal Jazzscene で初めて正式にお披露目された Tord Gustavsen の新プロジェクト公演を聴いたので書いておく。このプロジェクトはヴォーカルにSimin Tander、ドラムに Jarle Vespestad を迎える。昨夜はこれに加えて Tord Gustavsen Quartet のメンバーでもあるサックスの Tore Brunborg が一部参加した。
Victoriaでは一昨日 Trondheim Jazz Orchestra 公演を見たばかりだったが、昨夜の公演は客層が異なっていた。年齢層は上、男女半々ぐらいの感じだった。会場は立ち見、床座りの人も多く、満員で Tord のファン層の厚さを感じさせる。ステージ左手にグランドピアノ、その上に小型のベースシンセ、そして周りにエレクトロニクスを置いたTord、中央に Simin が立ち、右手に Jarle のドラムセットがある。一部参加した Tore は最も右手に位置した。
これまでのTord Gustavsen はグランド・ピアノのみを弾く静かなミュージシャンのイメージが強かったが、ここにきて、ベース・パートをシンセで弾きながら、場合によってはマイクを使ってヴォイス・シンセもする「アクティヴ」なTord の姿が見られた。曲によってはピアノも弾かず、左手でベースパートをのりながら今までで最もリズミックに演奏していた。Siminはドイツ生まれだが、父親がアフガニスタンのパシュトゥーで、エキゾチックな歌や英語の歌を歌う。高音が良く伸びる声質でかつパシュトゥー語で歌う時は独特の声の抑揚と震えが伴う。Jarle はTord Gustavsenが最初にトリオを始めた頃からのドラマーだが、Real & True Live Series では Farmers Market の名ドラマーとしても知られる。極めて静謐なTord Gustavsen の旋律をこれでもかというぐらいに抑制の良く効いた、音数の少ない選ばれたドラミングでサポートする。途中から参加したTore のサックスは高音に透明感と人のヴォイス感が漂う洗練された演奏で知られるが、昨夜はこれに更に磨きがかかっていた。
演奏された曲はSiminの持ち歌が中心だったが、Tord のピアノ演奏もかなりの割合で披露され、ドラム・ソロやサックス・ソロも入る、オールラウンドな公演だった。曲の合間にはTord の丁寧な曲説明とメンバー紹介がある。Tord のパリ公演でダブルベース・プレイヤーの到着が間に合わず、ピアノとドラムだけで凌いだことなどユーモアを交えて語っていた。Tord がシンセでベースパートを弾くなどというのは、本人も想像だにしていなかった(自分で驚いていると公言)ことだ。更には、Moog の "PianoBar"という機材も登場した。これはグランドピアノの鍵盤を光学的にフォローしてその動きをMIDI シグナルに変換する装置で、ピアノの演奏と同時、或いは少し遅れて、アコースティック・ピアノ音のバックに流麗なキーボード系の音を流すことができる。これは去年の4月頃、In the Country などで活躍するピアノ+キーボード・プレイヤーのMorten Qvenild (来月、Real & True Live Series 出演予定)の演奏を見たことにより触発されて始めたものだ。エレクトロニクスを取り入れたTord はある種のイメージ・チェンジ効果を得たと思う。
こういうようにTord 自身が随分と変身しつつあるが、基本としての「静寂の中のパッション」という彼の路線は変わっていない。ごく抑えた音量と選び抜いた旋律で、国籍不明だがどこか中近東風でエキゾチックな歌(ノルウェーの教会音楽をパシュトゥー語で歌うという芸当もある)をサポートしている。もちろん、ジャンルは特定できない。楽器構成的にはジャズの上にエレクトロニクスが少々、曲調は場合によってはワールド・ミュージックだが、ジャズ・ポップ的要素がなくもない。言葉で書くには限界がある。ぜひ一度日本でライヴを実現したいものだ。

これまでのTord Gustavsen はグランド・ピアノのみを弾く静かなミュージシャンのイメージが強かったが、ここにきて、ベース・パートをシンセで弾きながら、場合によってはマイクを使ってヴォイス・シンセもする「アクティヴ」なTord の姿が見られた。曲によってはピアノも弾かず、左手でベースパートをのりながら今までで最もリズミックに演奏していた。Siminはドイツ生まれだが、父親がアフガニスタンのパシュトゥーで、エキゾチックな歌や英語の歌を歌う。高音が良く伸びる声質でかつパシュトゥー語で歌う時は独特の声の抑揚と震えが伴う。Jarle はTord Gustavsenが最初にトリオを始めた頃からのドラマーだが、Real & True Live Series では Farmers Market の名ドラマーとしても知られる。極めて静謐なTord Gustavsen の旋律をこれでもかというぐらいに抑制の良く効いた、音数の少ない選ばれたドラミングでサポートする。途中から参加したTore のサックスは高音に透明感と人のヴォイス感が漂う洗練された演奏で知られるが、昨夜はこれに更に磨きがかかっていた。
演奏された曲はSiminの持ち歌が中心だったが、Tord のピアノ演奏もかなりの割合で披露され、ドラム・ソロやサックス・ソロも入る、オールラウンドな公演だった。曲の合間にはTord の丁寧な曲説明とメンバー紹介がある。Tord のパリ公演でダブルベース・プレイヤーの到着が間に合わず、ピアノとドラムだけで凌いだことなどユーモアを交えて語っていた。Tord がシンセでベースパートを弾くなどというのは、本人も想像だにしていなかった(自分で驚いていると公言)ことだ。更には、Moog の "PianoBar"という機材も登場した。これはグランドピアノの鍵盤を光学的にフォローしてその動きをMIDI シグナルに変換する装置で、ピアノの演奏と同時、或いは少し遅れて、アコースティック・ピアノ音のバックに流麗なキーボード系の音を流すことができる。これは去年の4月頃、In the Country などで活躍するピアノ+キーボード・プレイヤーのMorten Qvenild (来月、Real & True Live Series 出演予定)の演奏を見たことにより触発されて始めたものだ。エレクトロニクスを取り入れたTord はある種のイメージ・チェンジ効果を得たと思う。
こういうようにTord 自身が随分と変身しつつあるが、基本としての「静寂の中のパッション」という彼の路線は変わっていない。ごく抑えた音量と選び抜いた旋律で、国籍不明だがどこか中近東風でエキゾチックな歌(ノルウェーの教会音楽をパシュトゥー語で歌うという芸当もある)をサポートしている。もちろん、ジャンルは特定できない。楽器構成的にはジャズの上にエレクトロニクスが少々、曲調は場合によってはワールド・ミュージックだが、ジャズ・ポップ的要素がなくもない。言葉で書くには限界がある。ぜひ一度日本でライヴを実現したいものだ。
by invs
| 2015-01-18 19:51
| Tord Gustavsen

