2015年 07月 21日
Gammalgrass - 「オフィス」 ライヴ・ヴィデオ |
数日前のBlog 記事でヨーロッパのライヴ音楽(リスニング)環境について書いた。
ここに、もう一つ、ヨーロッパのライヴ音楽のあり方を端的に表すとともに、大変楽しく、かつライヴ音楽の根源、ひいては音楽の真髄に迫るヴィデオをご紹介する。 photo: Fred-Olav Vatne/NRK
ノルウェーのバンド Gammalgrass による「オフィス・ライヴ」だ。メンバーは以下のとおり。
Ola Kvernberg - ヴァイオリン
Stian Carstensen - バンジョー、アコーデオン
Ole Morten Vågan - ダブルベース
2012 年 10/23、ノルウェーの国営放送とノルウェー音楽インフォメーション・センター(略称 MIC - 現在はMusic Norway に改組)の共同制作による。Gammalgrass がオスロ近郊にある Eidsvoll 市(バンドメンバーの Stian Carstensen が市民)の市庁舎オフィス内でライヴ演奏する様子を撮影したものだ。
ライヴ音楽に寛大で場所提供などについて大変フレキシブルなヨーロッパでも、通常のオフィス内でのライヴというのは珍しい。そこに敢えて挑戦し、ネットでプロモーション用に拡散する手段にしていこうというのが冴えている (数年前、MIC は自らのオフィスを使って一連の「オフィス・ライヴ」を開催していた)。
このライヴは見ていて実に楽しい。真の音楽にジャンルはいらないということが伝わってくる。音楽とはこういうものだということを見事にとらえている。聴く方はできるだけ「気軽」に、「構えない」で、でも大いなる敬意をもってアーティストを迎え、聴くことに集中する。アーティストは「全身全霊」で演奏するが、やたらに「ひけらかさない」で「真摯」に「音楽のためのメディア(伝道者)を務め」る。
たった三人での演奏だが、大迫力だ。Real & True ではジャンルは一切問わず、ホンモノの音楽を紹介することを使命としているが、こういうライヴはまさに目指すところだ。
彼らが演奏しているのはブルーグラス音楽とそれを最大限に応用したジャンル分け不可能な音楽だ。ブルーグラス音楽(Bluegrass music)は、Wikepedia の定義によれば、「アメリカのアパラチア南部に入植したスコッチ・アイリッシュ(現在の北アイルランド、アルスター地方にスコットランドから移住した人たち)の伝承音楽をベースにして1945年末、ビル・モンローのブルー・グラス・ボーイズにアール・スクラッグスが加わってから後に発展したアコースティック音楽のジャンル」ということになるが、それがノルウェーの第一級ミュージシャン達の手にかかると、このように変身する。
収録されている曲は以下のとおり。
"Sally Goodin" - ブルーグラスの伝統曲。高速。
"Basket Case" - アメリカのロックバンドGreen Dayの曲
クラシックの名曲やバンジョーのチューニング自体を挿入したりしてユーモアたっぷり。
"Méditation" - 作曲家 Jules Messenat のクラシック名曲
Jules Messenat の曲をアレンジしている。オペラ "Thaïs" のシンフォニー・インターメッツォでヴァイオリンのソロとオーケストラのために書かれている。1894年、パリでプレミアされた。Gammalgrass のアレンジは原曲の精神を良くとらえていると思う。
"Olaslåtten" - Gammalgrass の Ola Kvernberg オリジナル曲。バンドが Giske 市にある、海に面した素晴らしいスタジオOcean Sound Recordingsで「ニュー・アルバムの録音のためジャム(即興)をしていた時にできた。できたてほやほやでまだ完成していないので、曲名も何とつけたらいいのかわからない」(Ola)。
バンドの Stian Carstensen はバンド Farmers Market のリーダーや他のバンドのメンバーとして八面六臂の活躍をしている。Real & True Live Series では最古参の一人だ。Ole Morten Vågan はバンド Motif のリーダーとして Real & True Live Series に出演したことがある。
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ここに、もう一つ、ヨーロッパのライヴ音楽のあり方を端的に表すとともに、大変楽しく、かつライヴ音楽の根源、ひいては音楽の真髄に迫るヴィデオをご紹介する。
ノルウェーのバンド Gammalgrass による「オフィス・ライヴ」だ。メンバーは以下のとおり。
Ola Kvernberg - ヴァイオリン
Stian Carstensen - バンジョー、アコーデオン
Ole Morten Vågan - ダブルベース
2012 年 10/23、ノルウェーの国営放送とノルウェー音楽インフォメーション・センター(略称 MIC - 現在はMusic Norway に改組)の共同制作による。Gammalgrass がオスロ近郊にある Eidsvoll 市(バンドメンバーの Stian Carstensen が市民)の市庁舎オフィス内でライヴ演奏する様子を撮影したものだ。
ライヴ音楽に寛大で場所提供などについて大変フレキシブルなヨーロッパでも、通常のオフィス内でのライヴというのは珍しい。そこに敢えて挑戦し、ネットでプロモーション用に拡散する手段にしていこうというのが冴えている (数年前、MIC は自らのオフィスを使って一連の「オフィス・ライヴ」を開催していた)。
このライヴは見ていて実に楽しい。真の音楽にジャンルはいらないということが伝わってくる。音楽とはこういうものだということを見事にとらえている。聴く方はできるだけ「気軽」に、「構えない」で、でも大いなる敬意をもってアーティストを迎え、聴くことに集中する。アーティストは「全身全霊」で演奏するが、やたらに「ひけらかさない」で「真摯」に「音楽のためのメディア(伝道者)を務め」る。
たった三人での演奏だが、大迫力だ。Real & True ではジャンルは一切問わず、ホンモノの音楽を紹介することを使命としているが、こういうライヴはまさに目指すところだ。
彼らが演奏しているのはブルーグラス音楽とそれを最大限に応用したジャンル分け不可能な音楽だ。ブルーグラス音楽(Bluegrass music)は、Wikepedia の定義によれば、「アメリカのアパラチア南部に入植したスコッチ・アイリッシュ(現在の北アイルランド、アルスター地方にスコットランドから移住した人たち)の伝承音楽をベースにして1945年末、ビル・モンローのブルー・グラス・ボーイズにアール・スクラッグスが加わってから後に発展したアコースティック音楽のジャンル」ということになるが、それがノルウェーの第一級ミュージシャン達の手にかかると、このように変身する。
収録されている曲は以下のとおり。
"Sally Goodin" - ブルーグラスの伝統曲。高速。
"Basket Case" - アメリカのロックバンドGreen Dayの曲
クラシックの名曲やバンジョーのチューニング自体を挿入したりしてユーモアたっぷり。
"Méditation" - 作曲家 Jules Messenat のクラシック名曲
Jules Messenat の曲をアレンジしている。オペラ "Thaïs" のシンフォニー・インターメッツォでヴァイオリンのソロとオーケストラのために書かれている。1894年、パリでプレミアされた。Gammalgrass のアレンジは原曲の精神を良くとらえていると思う。
"Olaslåtten" - Gammalgrass の Ola Kvernberg オリジナル曲。バンドが Giske 市にある、海に面した素晴らしいスタジオOcean Sound Recordingsで「ニュー・アルバムの録音のためジャム(即興)をしていた時にできた。できたてほやほやでまだ完成していないので、曲名も何とつけたらいいのかわからない」(Ola)。
バンドの Stian Carstensen はバンド Farmers Market のリーダーや他のバンドのメンバーとして八面六臂の活躍をしている。Real & True Live Series では最古参の一人だ。Ole Morten Vågan はバンド Motif のリーダーとして Real & True Live Series に出演したことがある。
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by invs
| 2015-07-21 13:39