2016年 10月 20日
Arvvas の日本ツアー開始 |
ノルウェーのデュオ Arvvas の日本ツアーが始まった。
日本ツアー詳細
昨日、初日は柏市のジャズ・クラブ Nardis でのライヴだった。前回来日時と異なり、今回はPA を使い、エフェクト類を駆使していた。ノルウェーから持参したSteinar Raknes の「システム」はPC、ループ、各種エフェクト類のボード、エフェクト管理ツールからなる。これらにより、ダブルベースを弾いていても、それ以外の音が出力されることになる。コード的環境音、ロック・ギター的歪み音など、いろいろな音が出せる。
その結果、以前にも増してロック的色彩が強くなっている。曲はArvvas のアルバム "Remembrance"からほぼすべての曲を演奏した他、新曲も披露された。Sara Marielle とSteinar の「デュアル旋律」は相変わらず面白い。同じ曲に二つの異なるメロディーのヴォーカルが二つの言語で歌われる。ときおり、二人がハーモニーで歌うところだけ英語になり、ヴォーカルがいわゆる西洋型の旋律になる以外は、Sara Marielle はサーミ語とサーミが使う発声法によりヨイクを吟じる。二人で組んでからのステージ経験も増え、それぞれのヴォーカルの説得度は増し、ハーモニーもより確かなものになっている。
Steinar のダブルベースは以前同様、ジャズとクラシックのバックグラウンドが感じられ、たとえアメリカンな曲であっても、下支えとなる音の構造はヨーロッパ的響きを持っている。彼がブルースやロックのカヴァーをしていても、そこには土着のねちっこさはない。ダブルベースの運指の妙により、アフリカン・アメリカンの雰囲気は減じられ、ヨーロッパの香をまとってくる。特に彼のヴォーカルがブルージーな旋律の時に、その対比がより深まり、何とも言えないハイブリッドぶりを発揮する。音楽のルーツがどこにあるか詮索する必要がまったくないほど、オリジナルな仕上げがなされていて、カヴァー曲にしばしば見られる「エセ・オリジナル感」がない。ここがSteinar の最も評価されてしかるべきポイントだろう。それが故に、少数民族の無伴奏即興詩吟であったヨイクを取り合わせても決して「安いワールドミュージック」には堕せず、高い芸術性を備えた大衆音楽を創り得たのだ。
大衆性と芸術性を兼ね備えた Arvvas の音楽の未来は明るい。
今晩は横浜の Airegin でのライヴとなる。

photo:前沢春美 - 2015 年公演より
日本ツアー詳細
昨日、初日は柏市のジャズ・クラブ Nardis でのライヴだった。前回来日時と異なり、今回はPA を使い、エフェクト類を駆使していた。ノルウェーから持参したSteinar Raknes の「システム」はPC、ループ、各種エフェクト類のボード、エフェクト管理ツールからなる。これらにより、ダブルベースを弾いていても、それ以外の音が出力されることになる。コード的環境音、ロック・ギター的歪み音など、いろいろな音が出せる。
その結果、以前にも増してロック的色彩が強くなっている。曲はArvvas のアルバム "Remembrance"からほぼすべての曲を演奏した他、新曲も披露された。Sara Marielle とSteinar の「デュアル旋律」は相変わらず面白い。同じ曲に二つの異なるメロディーのヴォーカルが二つの言語で歌われる。ときおり、二人がハーモニーで歌うところだけ英語になり、ヴォーカルがいわゆる西洋型の旋律になる以外は、Sara Marielle はサーミ語とサーミが使う発声法によりヨイクを吟じる。二人で組んでからのステージ経験も増え、それぞれのヴォーカルの説得度は増し、ハーモニーもより確かなものになっている。
Steinar のダブルベースは以前同様、ジャズとクラシックのバックグラウンドが感じられ、たとえアメリカンな曲であっても、下支えとなる音の構造はヨーロッパ的響きを持っている。彼がブルースやロックのカヴァーをしていても、そこには土着のねちっこさはない。ダブルベースの運指の妙により、アフリカン・アメリカンの雰囲気は減じられ、ヨーロッパの香をまとってくる。特に彼のヴォーカルがブルージーな旋律の時に、その対比がより深まり、何とも言えないハイブリッドぶりを発揮する。音楽のルーツがどこにあるか詮索する必要がまったくないほど、オリジナルな仕上げがなされていて、カヴァー曲にしばしば見られる「エセ・オリジナル感」がない。ここがSteinar の最も評価されてしかるべきポイントだろう。それが故に、少数民族の無伴奏即興詩吟であったヨイクを取り合わせても決して「安いワールドミュージック」には堕せず、高い芸術性を備えた大衆音楽を創り得たのだ。
大衆性と芸術性を兼ね備えた Arvvas の音楽の未来は明るい。
今晩は横浜の Airegin でのライヴとなる。

by invs
| 2016-10-20 10:38
| Arvvas