2016年 10月 27日
Nakama/仲間 - 今夜は横浜 Airegin、昨夜新潟公演の感想 |
Nakama/仲間の日本ツアーは今夜、横浜での公演となる。会場は馬車道の Airegin だ。
ツアー詳細
昨日の新潟 Jazz Flash 公演で新たに思ったことを書いておく。
*Nakama は全員が楽譜を目の前に置いて、緻密に作曲された曲を演奏する。曲によっては、楽譜を追わないと演奏できないように作ってある。例えば "Daily Choices" という曲は、譜面が二種類あり、一つにそれぞれの楽器のパートで使えるフレーズなりが書いてあり、もう一つに曲全体の流れが、それらのパートをどこにどの流れで使うかの指示が独特の記譜法で書かれている。かなり作曲されてはいるが、各演奏者が自由に選択できる部分も残されている。かと言ってインプロヴィゼーションではなく、指示された音が演奏される。曲の流れが時間の進行に従って枝分かれできるように作曲されていて、例えば、ある時の演奏では一つの楽器だけが先に「曲を終えてしまい」、他の楽器が演奏しているという状態が生まれる。この選択は各演奏者の任意に任されてはいるが、緩いながらも全体としては作曲者であるChristian の指示のもとにある。
*数曲を除いて、主旋律を活かし、他の楽器がバックを演奏するという構図が消えている。主旋律がないか、埋没しているか、全楽器が主旋律(或いは主旋律もどき)という形がある。西洋のクラシックの伝統から離れる試みが随所に見られる。
*音楽以前の「音」への回帰、「音」への執着が、メロディーを背景に遠ざけたり、消滅させたりする。楽器のもつ純粋な音に神経を使う。例えば、擦弦楽器であるヴァイオリンやダブルベースの「擦る」音に注力する。
*理知的であろうとする基本態度、情に流されないようにするための仕掛け、それを可能にする楽譜ベースの演奏は、フィジカルな見かけはクラシックに似ていても、出す音がストイックであるため、クラシックからはかけ離れた理性的側面を見せる。
*リスナー側に演奏側と同様の集中と注意を求めるのはスイスのNik Baertsch's Ronin(ECMレーベル) やノルウェーのSplashgirl や Moskus といったHubro レーベル・アーティストと共通のものを感じる。いわゆる、「お客さんであるオーディエンスをリラックスした中、楽しませる」というエンタテインメントの基本を覆す。理性的な「理解」が期待されている。但し、Roninはグルーヴに重きを置いているため、そこの部分がエンタテイニングな要素となって見かけ上は「ノリ」が生じている。その逆が Nakama のポジションと言えばいいか。「ノリ」はない。
ツアー詳細
昨日の新潟 Jazz Flash 公演で新たに思ったことを書いておく。
*Nakama は全員が楽譜を目の前に置いて、緻密に作曲された曲を演奏する。曲によっては、楽譜を追わないと演奏できないように作ってある。例えば "Daily Choices" という曲は、譜面が二種類あり、一つにそれぞれの楽器のパートで使えるフレーズなりが書いてあり、もう一つに曲全体の流れが、それらのパートをどこにどの流れで使うかの指示が独特の記譜法で書かれている。かなり作曲されてはいるが、各演奏者が自由に選択できる部分も残されている。かと言ってインプロヴィゼーションではなく、指示された音が演奏される。曲の流れが時間の進行に従って枝分かれできるように作曲されていて、例えば、ある時の演奏では一つの楽器だけが先に「曲を終えてしまい」、他の楽器が演奏しているという状態が生まれる。この選択は各演奏者の任意に任されてはいるが、緩いながらも全体としては作曲者であるChristian の指示のもとにある。
*数曲を除いて、主旋律を活かし、他の楽器がバックを演奏するという構図が消えている。主旋律がないか、埋没しているか、全楽器が主旋律(或いは主旋律もどき)という形がある。西洋のクラシックの伝統から離れる試みが随所に見られる。
*音楽以前の「音」への回帰、「音」への執着が、メロディーを背景に遠ざけたり、消滅させたりする。楽器のもつ純粋な音に神経を使う。例えば、擦弦楽器であるヴァイオリンやダブルベースの「擦る」音に注力する。
*理知的であろうとする基本態度、情に流されないようにするための仕掛け、それを可能にする楽譜ベースの演奏は、フィジカルな見かけはクラシックに似ていても、出す音がストイックであるため、クラシックからはかけ離れた理性的側面を見せる。
*リスナー側に演奏側と同様の集中と注意を求めるのはスイスのNik Baertsch's Ronin(ECMレーベル) やノルウェーのSplashgirl や Moskus といったHubro レーベル・アーティストと共通のものを感じる。いわゆる、「お客さんであるオーディエンスをリラックスした中、楽しませる」というエンタテインメントの基本を覆す。理性的な「理解」が期待されている。但し、Roninはグルーヴに重きを置いているため、そこの部分がエンタテイニングな要素となって見かけ上は「ノリ」が生じている。その逆が Nakama のポジションと言えばいいか。「ノリ」はない。
by invs
| 2016-10-27 19:08
| Nakama/仲間