2017年 01月 26日
Tore Brunborg Slow Snow Quartet - 今夜は新潟 |
Tore Brunborg Slow Snow Quartet の日本ツアーは三日目に入った。今夜は新潟だ。会場は Jazz Flash になる。
ツアー詳細
昨夜の金沢「もっきりや」のライヴは素晴らしかった。大勢のオーディエンスを前にまさに熱演といっていい内容だった。会場に合わせて、サックスはPA を通さず、従ってリヴァーブなどのエフェクトをかけない生音そのもののプレイだった。京都公演ではPA/リヴァーブを使ったのでスペーシーな感じが出ていたが、「もっきりや」は小さ目の会場で木材を多用したインテリアなので、よりアコースティックな仕上げを狙った。
Tore の作曲する曲はジャズを基本としながらも、幾つかの曲ではリズムに多分にロックの要素があり、「ノリ」のいいものが多い。それに、曲の構造がしっかりしているのと、メロディー・ラインをあまり崩さないこともあって、たとえフリー・ジャズ気味になっても聴きやすい。そういう意味ではジャズについていけないと思っている人には入門編としていいと思う。一方、ディープなジャズやフリー系が好きな人たちにとっても醍醐味を味わえる音楽だ。変拍子の楽器別の組み合わせ方とか、フリーでありながら「何でもあり」ではなく、周到に考えられた仕組みの上でどこまで自由に各プレイヤーが演奏できるかの大変いい例が提示されている。 Tore は淡々とプレイしているように見えるが、実は曲作りは凝っていてそう簡単に演奏できるような旋律やリズムではない。ステージ上ではほとんど喋らないから、なおさらクールにさらっとやっている感じがしてしまうかも知れないが、奥には強い炎が燃えている。
他のメンバーも細かく見ていると本当に面白い。ダブルベースのSteinar は一見アグレッシブだが、ソロをとる時や、スローなバラード曲などで見せる精緻で繊細なプレイには説得力がある。ギターの Eivind はギターをバンドの「背景」のように、あたかも漂う雲か霧のように巧みに使う一方、曲によってはロックのハードなギター・リフを刻んだり、長めのトーンでよく通る音色のフレーズを高低様々に駆け巡らせる。ドラムの Per Oddvar はHelge Lien Trio やAyumi Tanaka Trio での静かな、音数少ないプレイとは対照的に、時にはロック・ビート調の早回し連打や、多様なシンバル・ワークで手数の多い演奏を見せたりする。どのメンバーも「曲の完成度を高める」ことを念頭に、本人の手癖をそのまま披露するのではなく、Tore 流作曲に合わせて加工し、真剣にプレイしていることがわかる。あたりまえだが、ヴェテランの演奏とはこういうものだ。そして、そのあたりまえが大事だということがライヴでの感動の根底にある。
ツアー詳細
昨夜の金沢「もっきりや」のライヴは素晴らしかった。大勢のオーディエンスを前にまさに熱演といっていい内容だった。会場に合わせて、サックスはPA を通さず、従ってリヴァーブなどのエフェクトをかけない生音そのもののプレイだった。京都公演ではPA/リヴァーブを使ったのでスペーシーな感じが出ていたが、「もっきりや」は小さ目の会場で木材を多用したインテリアなので、よりアコースティックな仕上げを狙った。
Tore の作曲する曲はジャズを基本としながらも、幾つかの曲ではリズムに多分にロックの要素があり、「ノリ」のいいものが多い。それに、曲の構造がしっかりしているのと、メロディー・ラインをあまり崩さないこともあって、たとえフリー・ジャズ気味になっても聴きやすい。そういう意味ではジャズについていけないと思っている人には入門編としていいと思う。一方、ディープなジャズやフリー系が好きな人たちにとっても醍醐味を味わえる音楽だ。変拍子の楽器別の組み合わせ方とか、フリーでありながら「何でもあり」ではなく、周到に考えられた仕組みの上でどこまで自由に各プレイヤーが演奏できるかの大変いい例が提示されている。 Tore は淡々とプレイしているように見えるが、実は曲作りは凝っていてそう簡単に演奏できるような旋律やリズムではない。ステージ上ではほとんど喋らないから、なおさらクールにさらっとやっている感じがしてしまうかも知れないが、奥には強い炎が燃えている。
他のメンバーも細かく見ていると本当に面白い。ダブルベースのSteinar は一見アグレッシブだが、ソロをとる時や、スローなバラード曲などで見せる精緻で繊細なプレイには説得力がある。ギターの Eivind はギターをバンドの「背景」のように、あたかも漂う雲か霧のように巧みに使う一方、曲によってはロックのハードなギター・リフを刻んだり、長めのトーンでよく通る音色のフレーズを高低様々に駆け巡らせる。ドラムの Per Oddvar はHelge Lien Trio やAyumi Tanaka Trio での静かな、音数少ないプレイとは対照的に、時にはロック・ビート調の早回し連打や、多様なシンバル・ワークで手数の多い演奏を見せたりする。どのメンバーも「曲の完成度を高める」ことを念頭に、本人の手癖をそのまま披露するのではなく、Tore 流作曲に合わせて加工し、真剣にプレイしていることがわかる。あたりまえだが、ヴェテランの演奏とはこういうものだ。そして、そのあたりまえが大事だということがライヴでの感動の根底にある。
by invs
| 2017-01-26 16:10
| Tore Brunborg