2017年 05月 21日
Building Instrument + Erlend Apneseth Trio ダブル・ツアー、本日二日目 |
昨夜、ノルウェー新進バンド二組によるツアー皮切り公演が横浜の Airegin(エアジン)で行われた。今日、二日目は東京新宿 Pit Inn になる。
Building Instrument + Erlend Apneseth Trio ダブル・ツアー
昨夜の公演感想
最初に登場したのは Building Instrument(ビュルディング・インストルメント)だ。「屋根」というタイトルの曲で始まったライヴは、始終、浮遊感があり、ドリーミーなものだった。ヴォーカルの Mari Kvien Brunvoll は声を二通りに分けて使う。地声をベースにエフェクトをほとんどかけていない通常のマイク一本と手に持った小型扁平マイクにたくさんのエフェクトをかけて使うもう一本だ。通常マイクでは、どこかイギリスのインド人女性が歌うような、歌う区切りの最後がゆるやかに上下するフレーズが特徴的だが、ハンド・マイクではノイズから男性の声まで各種エレクトロニクスを駆使して「音響」的なアプローチをしている。ドラム/パーカッションの Øyvind は様々なパーカッションやドラムを演奏するかたわら、ハンドベル状のものを三個使って、それを叩いたり、ベルに付いている上下する棒状のものを押してベル音のみを響かせたりする場合もあって、対応が忙しい。キーボードとエレクトロニクスの Åsmund は「音の層」やベース音を作り、全体背景を提供する役割だ。Mari はチターも弾くが、この弦をカズーを手に持って叩き、Øyvind のパーカッションとともにバンドのリズムも演出する。曲には一定のフレーズのリフレインを中心に据えながら、いろいろなアレンジで変化を持たせている。コード的には major 7th や 9th の準微妙系メージャー・コードを多く感じたが、これがヨーロッパの音楽評論家をして、このバンドを「実験的ではあるが、近寄りやい(accessible)」と言わしめることになっているような気がした。
Erlend Apneseth Trio (エアレント・アプネセット・トリオ)は、ハルダンゲル・フィドルというノルウェーの伝統楽器の新たな可能性を拓いたという点で特異なバンドと言えよう。伝統音楽の中から飛び出した Erlend Apneseth は今回 3本のフィドルを持ち込んでいるが、ライヴ演奏でも一本を縦に持ってつまびきながらもう一本も同時に弾くなど、これまでの伝統楽器のアプローチを大きく超えた演奏をしていた。このバンドのメンバーでもあるØyvindは Building Instrument での演奏にも増して、多彩なパーカッション使いで目が離せない。ギターとエフェクト類の Stephan はギターをベース用に使ったり、ドローンやノイズなどの環境音に使ったり、モーター付羽根車(?)で弦を連続的に打ったり、ギターのボディーを手で叩いた音を加工したりとマルチだが、チンバロムの音のようなものも出したのは面白かった。Øyvind のパーカッション類と相性が良く、その上にのった Erlend の非伝統的ハルダンゲル・フィドルの音とともに、まったく新しい音楽が生まれていた。特に、ドライヴ感が強い、フィドルの繰り返しフレーズがバックのリズムと一体になった時のワールド・トライバル・ビートによる高揚感は新たな音楽の鼓動を感じさせた。

Building Instrument、Erlend Apneseth Trio の両方ともCDでは絶対にわからない音(特に倍音や周波数帯域の特に高いものと低いもの)がライヴで出ている(これはこのバンドに限ったことではないが)。ライヴで聴くことを強くお薦めする。
photos: エアジン
Building Instrument + Erlend Apneseth Trio ダブル・ツアー
昨夜の公演感想
最初に登場したのは Building Instrument(ビュルディング・インストルメント)だ。「屋根」というタイトルの曲で始まったライヴは、始終、浮遊感があり、ドリーミーなものだった。ヴォーカルの Mari Kvien Brunvoll は声を二通りに分けて使う。地声をベースにエフェクトをほとんどかけていない通常のマイク一本と手に持った小型扁平マイクにたくさんのエフェクトをかけて使うもう一本だ。通常マイクでは、どこかイギリスのインド人女性が歌うような、歌う区切りの最後がゆるやかに上下するフレーズが特徴的だが、ハンド・マイクではノイズから男性の声まで各種エレクトロニクスを駆使して「音響」的なアプローチをしている。ドラム/パーカッションの Øyvind は様々なパーカッションやドラムを演奏するかたわら、ハンドベル状のものを三個使って、それを叩いたり、ベルに付いている上下する棒状のものを押してベル音のみを響かせたりする場合もあって、対応が忙しい。キーボードとエレクトロニクスの Åsmund は「音の層」やベース音を作り、全体背景を提供する役割だ。Mari はチターも弾くが、この弦をカズーを手に持って叩き、Øyvind のパーカッションとともにバンドのリズムも演出する。曲には一定のフレーズのリフレインを中心に据えながら、いろいろなアレンジで変化を持たせている。コード的には major 7th や 9th の準微妙系メージャー・コードを多く感じたが、これがヨーロッパの音楽評論家をして、このバンドを「実験的ではあるが、近寄りやい(accessible)」と言わしめることになっているような気がした。



photos: エアジン
by invs
| 2017-05-21 15:00

