2017年 10月 22日
AR-GOD - 「音楽以前」の声 |
来日していたAR-GODの二人が帰途についた。彼らにとって初めての日本、初めての来日ツアーはとても印象的だったようだ。移動に次ぐ移動で、自由時間と呼べるようなものはほとんどなかったが、寸暇を惜しんで街歩きを楽しんでいた。
AR-GODの音楽は新鮮だった。伝統音楽には、たとえ異国のものであっても、どことなく郷愁を感じさせるようなものがあることは事実だが、ウドゥムルトとエストニアの伝統音楽には開眼させられた。特に、教会音楽/クラシックを源とする西洋音楽に染まる前のヴォーカル曲(例えば完全即興歌の「クレーシュ」)に大きな魅力を感じた。
本当は、「ヴォーカル」という現代の言葉で語ってはいけない。AR-GOD を聴くと、音楽発生以前の初源的な人間の声のあり方、使い方に絶大な力があることがわかる。これは、かつては当たり前のことだったはずだ。いつの間にか「音楽」という、声とは別のカテゴリーに取り込まれてしまい、本来の力が忘れ去られている。もちろん、今でも「ヴォーカルもの」は「インストゥルメンタルもの」よりは人気があるし、多くの人々の興味の対象になっている。でも、いわゆるアカペラものや民族音楽の一部を除き、無伴奏の、西洋的な器楽アンサンブルから遊離した声だけが評価されることは稀だ。
AR-GODを聴くと、声が力を得るためにはやはり声質も含めた発声が大事だということがわかる。また、その場その場での自由な即興/インプロヴィゼーションが独自性/創造性を高めることもわかる。そして、ここが不思議なのだが、声質/発声と即興性が有効だということは皆知っているのにもかかわらず、現代の音楽の中ではそれらの利用が限定的であることだ。声が、歌が、西洋音楽的アンサンブルの中で矮小化されている。
サーミのヨイクを無伴奏の独唱(むしろ独吟というのが相応しい)で聴いた時も同じ感想を抱いた。
常識的な西洋音楽のフレームに嵌められている限りは新たな次元へは至らない。もちろん、これも、Bulgarian Voice が世界中のミュージシャンを驚かし、Peter Gabriel の WOMADが西洋への非ヨーロッパ音楽の紹介を進めたように、何十年も前から気が付かれていて、それなりの取り組みがなされてきた。ただ、その過程で先進国の資本に絡め捕られて、非西洋音楽の本質が削り取られてきたことも事実だ。
AR-GODを聴いて、一般的な「ワールドミュージック」や「民族音楽」の「骨抜き」が、これまで理解してきた以上の深刻さで進行してきたことに逆に気が付かされた。
AR-GODの音楽は新鮮だった。伝統音楽には、たとえ異国のものであっても、どことなく郷愁を感じさせるようなものがあることは事実だが、ウドゥムルトとエストニアの伝統音楽には開眼させられた。特に、教会音楽/クラシックを源とする西洋音楽に染まる前のヴォーカル曲(例えば完全即興歌の「クレーシュ」)に大きな魅力を感じた。
本当は、「ヴォーカル」という現代の言葉で語ってはいけない。AR-GOD を聴くと、音楽発生以前の初源的な人間の声のあり方、使い方に絶大な力があることがわかる。これは、かつては当たり前のことだったはずだ。いつの間にか「音楽」という、声とは別のカテゴリーに取り込まれてしまい、本来の力が忘れ去られている。もちろん、今でも「ヴォーカルもの」は「インストゥルメンタルもの」よりは人気があるし、多くの人々の興味の対象になっている。でも、いわゆるアカペラものや民族音楽の一部を除き、無伴奏の、西洋的な器楽アンサンブルから遊離した声だけが評価されることは稀だ。
AR-GODを聴くと、声が力を得るためにはやはり声質も含めた発声が大事だということがわかる。また、その場その場での自由な即興/インプロヴィゼーションが独自性/創造性を高めることもわかる。そして、ここが不思議なのだが、声質/発声と即興性が有効だということは皆知っているのにもかかわらず、現代の音楽の中ではそれらの利用が限定的であることだ。声が、歌が、西洋音楽的アンサンブルの中で矮小化されている。
サーミのヨイクを無伴奏の独唱(むしろ独吟というのが相応しい)で聴いた時も同じ感想を抱いた。
常識的な西洋音楽のフレームに嵌められている限りは新たな次元へは至らない。もちろん、これも、Bulgarian Voice が世界中のミュージシャンを驚かし、Peter Gabriel の WOMADが西洋への非ヨーロッパ音楽の紹介を進めたように、何十年も前から気が付かれていて、それなりの取り組みがなされてきた。ただ、その過程で先進国の資本に絡め捕られて、非西洋音楽の本質が削り取られてきたことも事実だ。
AR-GODを聴いて、一般的な「ワールドミュージック」や「民族音楽」の「骨抜き」が、これまで理解してきた以上の深刻さで進行してきたことに逆に気が付かされた。
by invs
| 2017-10-22 21:26
| AR-GOD

