2018年 04月 13日
Ikarus(イカルス)2018 日本ツアー三日目 |
Ikarus(イカルス)日本ツアーは三日目に入った。今夜の会場は金沢の柿木畠にある「もっきりや」だ。
Ikarus 来日ツアー詳細
Ikarus 関連 Blog 記事一覧
スイスのバンドだからと言ってステレオタイプで「精巧・精緻」という形容詞は使いたくないが、Ikarus の一大特徴はこれにある。だいたいポリリズムをライヴで説得力ある形で披露するのは容易でない。[Wikipedia には「ポリリズム(英語 polyrhythm)は、楽曲中、または演奏中に、複数の異なる拍子が同時進行で用いられている音楽の状態の事である。ポリリズムのポリは「複数の」なので「複数のリズム」を意味する」と説明されている(詳しくはWikipediaをご参照)。]
これは別に新しいリズムではなく、古代からある。それが現代ジャズやロックに積極的に取り入られるようになって注目を浴びるようになった。その点ではスイスの作曲家でピアニストの Nik Baertsch の功績は大きい。リズムに着目して、そこを中心に作曲したことにより、これまで体験したことのないグルーヴ感が得られるようになった。もちろん、「グルーヴ」も以前からいろいろな音楽で追求されてきたが、ヨーロッパにおいて現代的なジャズのコンテクストではっきりとオーディエンスが体感できるような形で示したことが功を奏した。
Ikarus はそのポリリズム・グルーヴをヴォーカルも含む形で提示したところが新しい。それも歌詞が生み出す「意味」を消したスキャットであることが、グルーヴを深化させることに役立っている。歌詞だとどうしても聴く方は「意味」に引っ張られる。日本人にとって外国語であれば聞き流せるという、ヨーロッパとはまた違った環境があることは事実だが、それでも、I とか you とか、new、love など日本人でも聴きとれる単語が入っていれば、「何らかの意味」を感じる。これら一切の意味を捨て去って、音としてヴォーカルをバンド音楽に取り入れたのが Ikarusだ。
一方、ヴォーカルが入っていない音楽は、一般人にとってヴォーカルものよりアクセスし難いという、もうこれは定理と言ってもいいぐらいの音楽的常識がある。人の声が持つ力は強い。ちょっとやそっとの楽器の音では対抗できない。だからこそインストゥルメンタル曲を演奏する時やインスト系のバンドは「声に勝てる楽器演奏の力」を演奏技術や作曲時の工夫で得ようと努力する。Ikarus ではヴォーカルを使うことによりオーディエンスがアクセスし易くする一方、インスト部分に巧みな作曲をベースにした高度な演奏技術を導入して、「ヴォーカル・インスト二刀流」を成立させている。
こういうバンドはこれまでなかったように思う。クールなポリリズム・グルーヴのインストと自然の温かさを備えたヴォーカルが同時に進行する Ikarus の音楽に興味は尽きない。
Ikarus 来日ツアー詳細
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スイスのバンドだからと言ってステレオタイプで「精巧・精緻」という形容詞は使いたくないが、Ikarus の一大特徴はこれにある。だいたいポリリズムをライヴで説得力ある形で披露するのは容易でない。[Wikipedia には「ポリリズム(英語 polyrhythm)は、楽曲中、または演奏中に、複数の異なる拍子が同時進行で用いられている音楽の状態の事である。ポリリズムのポリは「複数の」なので「複数のリズム」を意味する」と説明されている(詳しくはWikipediaをご参照)。]
これは別に新しいリズムではなく、古代からある。それが現代ジャズやロックに積極的に取り入られるようになって注目を浴びるようになった。その点ではスイスの作曲家でピアニストの Nik Baertsch の功績は大きい。リズムに着目して、そこを中心に作曲したことにより、これまで体験したことのないグルーヴ感が得られるようになった。もちろん、「グルーヴ」も以前からいろいろな音楽で追求されてきたが、ヨーロッパにおいて現代的なジャズのコンテクストではっきりとオーディエンスが体感できるような形で示したことが功を奏した。
Ikarus はそのポリリズム・グルーヴをヴォーカルも含む形で提示したところが新しい。それも歌詞が生み出す「意味」を消したスキャットであることが、グルーヴを深化させることに役立っている。歌詞だとどうしても聴く方は「意味」に引っ張られる。日本人にとって外国語であれば聞き流せるという、ヨーロッパとはまた違った環境があることは事実だが、それでも、I とか you とか、new、love など日本人でも聴きとれる単語が入っていれば、「何らかの意味」を感じる。これら一切の意味を捨て去って、音としてヴォーカルをバンド音楽に取り入れたのが Ikarusだ。
一方、ヴォーカルが入っていない音楽は、一般人にとってヴォーカルものよりアクセスし難いという、もうこれは定理と言ってもいいぐらいの音楽的常識がある。人の声が持つ力は強い。ちょっとやそっとの楽器の音では対抗できない。だからこそインストゥルメンタル曲を演奏する時やインスト系のバンドは「声に勝てる楽器演奏の力」を演奏技術や作曲時の工夫で得ようと努力する。Ikarus ではヴォーカルを使うことによりオーディエンスがアクセスし易くする一方、インスト部分に巧みな作曲をベースにした高度な演奏技術を導入して、「ヴォーカル・インスト二刀流」を成立させている。
こういうバンドはこれまでなかったように思う。クールなポリリズム・グルーヴのインストと自然の温かさを備えたヴォーカルが同時に進行する Ikarus の音楽に興味は尽きない。
by invs
| 2018-04-13 18:15
| Ikarus