2018年 05月 17日
Adam Bałdych(アダム・バウディヒ+Helge Lien(ヘルゲ・リエン)ツアー三日目 |
ポーランドのAdam Bałdych(アダム・バウディヒ)とノルウェーのHelge Lien(ヘルゲ・リエン)によるデュオ・ツアーは三日目に入った。今夜の会場は上越市にある「ラ・ソネ菓寮春日山店」になる。
ツアー詳細
Adam Bałdych + Helge Lien 関連 Blog 記事一覧
今回 Adamは二種類のヴァイオリンを持ってきている。一つは通常のもの、もう一つは「ルネッサンス・ヴァイオリン」だ。後者は Adam が三年前、オーストリアのウィーンで入手したものだ。これは通常のヴァイオリンに比べて一回り大きく、形が扁平だ。温かみのある低い音(通常のヴァイオリンより 7度下に調弦)が出て、ピッチカート奏法に適している。Adam はギターのようにコードを鳴らすこともしていた。
Adam の弾く通常のヴァイオリンも「通常の音」をはるかに超えているのだが、「ルネッサンス・ヴァイオリン」はこれまでライヴで聴いたことがなかったため、新鮮な感じを受けた。今回のツアーでは、二年前に書いた曲 "Love" や "June"(ピアニスト Yaron Hermanとの曲)で使われている。
昨夜の金沢公演は会場の音環境もあって Adamはとても満足していた。「特別な夜」ということで、アンコールには普段あまり演奏しない Krzysztof Komeda 作曲で映画 " Rosemary's Baby"(「ローズマリーの赤ちゃん」)の曲を演奏、オーディエンスの注目を最後まで浴びていた。
Adam がステージで最初に語っていたように、ポーランドとノルウェーのフォーク音楽の伝統には共通するものがある。根っ子の部分で響きあうものを共有している Adamと Helge の二人による共振力はステージだけにとどまらず、客席に降りオーディエンスを深く揺さぶる。「音楽の美」という言葉が浮かんだ。音ではあるが、どこか美的な衣を纏っている。その作法はジャズだ。それも「カテゴリーで言うところのジャズ」ではなく、ジャンルをまたいで自由に演奏する「方法としてのジャズ」だ。
今回のデュオ公演は「方法としてのジャズ」をダイレクトに知覚するまたとない機会だと思う。三人以上のバンド形態になると、アンサンブルを更に重視しなければならなくなり、それぞれの演奏の自由度は低下する。音楽の真の姿が現れるのはミニマムな環境に置かれた時だ。形式とその解放はどの世界でも永遠のテーマだが、音楽における「方法としてのジャズ」が、解放においていかに大きな役割を果たしているかがわかるだろう。
必見・必聴のコンサートだ。
ツアー詳細
Adam Bałdych + Helge Lien 関連 Blog 記事一覧
今回 Adamは二種類のヴァイオリンを持ってきている。一つは通常のもの、もう一つは「ルネッサンス・ヴァイオリン」だ。後者は Adam が三年前、オーストリアのウィーンで入手したものだ。これは通常のヴァイオリンに比べて一回り大きく、形が扁平だ。温かみのある低い音(通常のヴァイオリンより 7度下に調弦)が出て、ピッチカート奏法に適している。Adam はギターのようにコードを鳴らすこともしていた。
Adam の弾く通常のヴァイオリンも「通常の音」をはるかに超えているのだが、「ルネッサンス・ヴァイオリン」はこれまでライヴで聴いたことがなかったため、新鮮な感じを受けた。今回のツアーでは、二年前に書いた曲 "Love" や "June"(ピアニスト Yaron Hermanとの曲)で使われている。
昨夜の金沢公演は会場の音環境もあって Adamはとても満足していた。「特別な夜」ということで、アンコールには普段あまり演奏しない Krzysztof Komeda 作曲で映画 " Rosemary's Baby"(「ローズマリーの赤ちゃん」)の曲を演奏、オーディエンスの注目を最後まで浴びていた。
Adam がステージで最初に語っていたように、ポーランドとノルウェーのフォーク音楽の伝統には共通するものがある。根っ子の部分で響きあうものを共有している Adamと Helge の二人による共振力はステージだけにとどまらず、客席に降りオーディエンスを深く揺さぶる。「音楽の美」という言葉が浮かんだ。音ではあるが、どこか美的な衣を纏っている。その作法はジャズだ。それも「カテゴリーで言うところのジャズ」ではなく、ジャンルをまたいで自由に演奏する「方法としてのジャズ」だ。
今回のデュオ公演は「方法としてのジャズ」をダイレクトに知覚するまたとない機会だと思う。三人以上のバンド形態になると、アンサンブルを更に重視しなければならなくなり、それぞれの演奏の自由度は低下する。音楽の真の姿が現れるのはミニマムな環境に置かれた時だ。形式とその解放はどの世界でも永遠のテーマだが、音楽における「方法としてのジャズ」が、解放においていかに大きな役割を果たしているかがわかるだろう。
必見・必聴のコンサートだ。

by invs
| 2018-05-17 15:13
| Adam Bałdych

