フィンランドのバンド Barlast (バーラスト)の最新アルバム "Musik för Scener" |
アルバムはバンドにとって 3枚目で去年の 8/5 にリリースされている。
Barlast(バーラスト) 2023 年3 月、日本公演 |

音楽マニアにとってしゃれたカテゴリー名がすぐに必要になる、従来型のラベル付けに抵抗する種類の音楽がある。「暗い四角い空間で聴く実験的な室内楽の断片」、「幾年にもわたる先鋭的なノルデイック・サウンドスケープ。」こういう表現が Barlast が最近リリースしたものの何たるかを確かに教えてくれる。でも、バンドの表現の方がよくその音楽を掴んでいる。彼らは音と同じように言葉をもおさえているのだ。「静寂が背景でこだましている、空間をもった新しい音楽。その静寂は音と音の間に聴こえる。不必要なものはすべて取り除かれている。」
ハーモニーとハーモニーがない部分の比率、濃さと薄さの比率、音の大きさと静寂さの比率が Barlast の音の秘密だ。
Musik för Scener は Philip Holm(フィリップ・ホルム)のダブルベースをただ一つのソリッドな固定された音として、それ以外は流体の音のつぶでできている(唯一、 "Roppongi Beat" だけアルバムの中でどちらかと言えば普通に構築された曲)。それ以外はアンビエントな「音の絨毯」は、 Heikki Hänninen のギター音、 Sanna Salonen と Minna Koskenlahti のフォーク的メロディー要素(mänkeri、åspipa 及び månmarkapipa といったフィンランド/スウェーデンの木管楽器 - ほとんど商業的な録音では聴かない)の翼で飛んで行く。
[注]
mänkeri - マンケリ、伝統的フィンランド西部の縦笛、木管楽器。クラリネットに似ている。しばしば松ノ木で作られる。
åspipa - オスピパ、スウェーデンの縦笛、リコーダー。
månmarkapipa - モンマルカピーパ、スウェーデンの縦笛。
これは夜行性の音楽だ。つまり、どういうことかと言うと、晴れた空がある暗い夜 - 暗がりを怖がらない人のための夜で、より多く、より深く、より遠くを見る機会を受け入れる人々のためのものだ。