2023年 09月 14日
「太陽の昇らない国」日本 |
日本におけるジャズ、ポップ、ロックなどの海外アーティストの公演を 20 年見わたしてきたが、基本的にアングロサクソン(イギリス・アメリカ)系のアーティストが多い。多分、30 - 60 年前('90 - '60 年代)もそうだろう。
やはり世界では情報が英語主流であること、本国の資本力が高いこと、広告宣伝関連の企業が英米系で支配的であることなどが影響している。最初の一点は「太陽の沈まない国」18 世紀イギリスの余波と、人口が多いアメリカ、後の二点は資本主義社会に生きているから、当然と言える。この力はある意味破壊的ですらある。特に多文化を尊重する視点から見れば、世界が徐々に単一の、(イギリス・アメリカには失礼だが)平面的な文化に収斂していくような感じだ。
'90 年代からはこれに更にインターネットが加わった。ここでもデ・ファクト世界言語は英語だ。逆に英語がわからなければ世界が見えてこない。それにインターネットはスピードが生半可ではない。'90 年代までの電話・FAX主流のコミュニケーションとは天文学的に違う。'90 年に 53 億人だった世界人口が今や 80 億人、日本は世界の 1/80 だ。必然的に日本語はネット世界ではマイノリティで、どうしたって日本語では世界と渡り合えない。
言葉と金、それらがネットに乗って加速度的に文化を変えていく。これにある程度抵抗しているのがイギリス以外のヨーロッパ(イギリスが「ヨーロッパ」に自国を入れないのはそういう意味で当然)だろう。大きな力に抵抗するためには大きな力が必要とあって、ヨーロッパ各国は社会主義的政策(例えば、ジャズ・フェスを政府や準政府系団体がサポートする)をとっている。だが、これすらアングロサクソン系の言葉と金には完全には抗えない。
翻って日本と言えば、政治が全くと言っていいほど世界を向いていない。やっているのは「行事」としての国際会議などた。あえて言えば江戸時代中期後期の徳川家が式・行事に重きを置き、侍が官僚化していった中での「行事」のようなものだ。本質よりも形を重んじる。だが、今やそれは世界に通じない。世界で大きな構造変革が起きているにもかかわらず、政治は些末な国内問題に明け暮れている。だいたい英語が喋れない政治家がほとんどの状態では、世界とコミュニケーションがとれない。こうやってどんどん日本は沈んでいく。
「太陽の昇らない国」日本では冗談にならない。
by invs
| 2023-09-14 09:54
| 「その他」の重さ