2023年 11月 14日
特別な体験 - Björn Meyer(ビョルン・マイヤー)稲毛 Candy 公演のマジック |
Björn Meyer(ビョルン・マイヤー)の 11/6 稲毛 Candy 公演で特別な体験をした。このような体験は滅多にない。
この日、Candy には PA(拡声用音響機材)を用意してもらっていた。PA といってもごくごく小さいスピーカー二台だけだ。この日は Roland 製だった。それとベース用小型アンプ/スピーカー一体型と少し小さめのベース・スピーカーがあったので、Björn はこれらを利用し、自分で持ち込んだプリアンプとミキサー機能その他が一体となったものとをつなげ、驚異的な音を作った。

二台の小型スピーカーが上段(の台の上)に載っている。その間に赤い枠の小型アンプ/スピーカーがある。
右下に小さな赤いベースアンプ。左右の大型スピーカーと下段に二台のアンプは店のリスニング用で使わない。
中央下に持ち込みのプリアンプ/ミキサー・他、一番下前方が Björn の エフェクト・ペダル類/スゥイッチ。
Candy は小さなジャズクラブなので音は大きくなくていい。もともと Björn の演奏も「エレクトリック・ベースをアコースティック的に鳴らす」コンセプトのもと行われているので、音量は小さくて構わない。むしろ弾く際にスライドしたときの弦の擦れる音や、ピックが弦にタッチする音など、極小と思われる音を聴いてもらいたいと思っている。だからこの日のセッティングはより理想的な音環境に近づくものだった。
ひとだび演奏が始まるとその効果は抜きんでていた。彼独特の、音が丸みを帯びていて全帯域が均等にきれいに出ている。キラキラした派手さはなく、渋い音が低域から広域まで万遍なくよく通る。本当にきれいな歪みがない、弾いた通りの音、彼が何日か前に言っていた「出したい音」が本当に出ている。
この音が出て初めて「音楽」ができたと思った。ライヴ音へのこだわりは別にアーティストだけのものではない。聴く者にとってもとても重要な要素で、公演の良し悪しを左右するものだ。でも実際ライヴをやるとそう簡単に理想の「音」はでない。正直、100回やって 1回、まあ私が「主観的に」ある一定程度満足するものができる。それが今回は 500 回に 1 回のできだった。それでもアーティストにとってはもっと少ないと思う。
ライヴは様々な要素が音に影響する。レコーディング・スタジオの理想的な音環境とはかなり異なる。そのライヴでいい音が出る。偶然と Björn の考えと彼の技がなしえた今回の「音」。もちろん Candy の音環境(含むインテリア)も手伝っている。すべてがマッチングしないとこうならない。
11/6 稲毛のマジックだった。
by invs
| 2023-11-14 12:52
| Björn Meyer