2024年 05月 01日
Samuli Mikkonen (サムリ・ミッコネン)4/29 稲毛公演、ツアー終了 |
ピアニスト Samuli Mikkonen (サムリ・ミッコネン)のソロ・ツアーは 4/29 稲毛公演をもって終了した。
最終公演は満員の会場で始まった。初日の柏 Nardis とともに、PA などエレクトロニクスを全く使わない完全アコーステイック公演だった。ピアノのコンディションの良さと調律が極めて正しかったため、あたかもリヴァーブをかけたようなきれいな音が実現された。
Samuli の特徴ある「多元転調」(と大沢が勝手に呼んでいる)- いくつも連続して転調を続けていく中で基音となるべき音が繰り替えされる - がこの日は特に美しく響いたのも、ピアノの基本中の基本である調律の賜物だ。いかにピアニストが上手であっても、音が不安定ではどうしようもない。プロのピアニストは音程が狂っている鍵盤があるとそれを避けて演奏するから、聴いている方はわからないが、弾いてはいけないところがあると演奏に制約がかかってしまう。
この日、東京は「ほとんど湿度が高いくらいになってきた」が、稲毛に着いたら「クールな海風を感じて素晴らしかった」とステージで言って、その気分をインプロにしていた。こういうところは Samuli らしい。敏感にその土地、その土地を肌で感じている。
インプロではないものも演奏した。曲は Udmurtia (ウドゥムルティア - 現在、ロシア連邦内の共和国)の伝統曲 "Soldat Keljangúr"(ソルダット・ケリアングル - ECM レーベル・アルバム KUÁRA - PSALMS AND FOLK SONGS の中の一曲)が演奏された。Udumurtia はフィンランドのフィン人と根を同じくするフィン・ウゴール族の国だが、今やその文化、民族は根絶されそうだと Samuli は説明していた。いわゆるロシア化が行われた結果だ。曲はどこか東洋風の感じもあるフォークソングで、遠い国で戦う兵士として送られることになった息子の出征を母親が嘆いている。
アンコールは Chick Corea の曲で、Samuli の好きな曲だと言う。いわゆる「ジャズ」曲を最後に持ってきて、自らの音楽と対比させる意図を感じる構成だった。各公演最後はこの曲を演奏して終わりにしていた。



by invs
| 2024-05-01 11:53
| Samuli Mikkonen

