オランダの Yuri Honing Acoustic Quartet(ユリ・ホーニング・アコーステイック・カルテット)の Yuri |
昨日、オランダの Yuri Honing Acoustic Quartet(ユリ・ホーニング・アコーステイック・カルテット)東京公演が代官山の「晴れたら空に豆まいて」で行われた。カルテットのリーダー、Yuri の演奏を聴いて、思う所を書いておく。
Yuri のサックス・プレイの一つの特徴はロング・トーンをよく使い、その過程で音程を半音、或いはマイクロトーナル(微分音)風にグライドしていって音を上下させることがあると思う。よって音は音楽的には「メロディカル」だがその移り変わりをポップチューンのように、普通の人は簡単にはフォローできない。だからいわゆる「メロディーが豊か」で「曲を覚えて」頭の中で繰り返し音が鳴り響く、「ハウンティング・サウンド(いつまでも耳に残る音)」にはならない。
「ハウンティング・サウンド」を無意識に欲するオーディエンス(そうでないオーディエンスもいるが)にとってはなかなか厄介だが、この「覚えにくいフレーズ」が彼の音楽をして、(継続していくメロディーを全体と捉えると)一つの雰囲気を作り出している。個別のサッとしたフレーズ、「布の上のはっきりした個別の模様」ではなく、「連綿とした模様のある布の生地」とでも表現できるかもしれない。
彼は作曲するとき、紙/五線譜と書く物を置いて、その周りを歩きながら行うと言っていた。サックスなど楽器は手にせず、頭の世界を紙に落とす。もともとピアノを弾いていてサックスに転向したというから、メロディー主体のサックスで作曲するアプローチとは違うのだろう。
ロング・トーンの中の音の動きは以前、中東音楽のマイクロトーナルを勉強したことがあるそうだから、そこからインスピレーションを得ているのかもしれない。
Yuri の父親は著名なクラシック音楽の音響エンジニアだったそうだ。アムステルダムのコンセルトヘボウ(クラシック音楽の殿堂)には頻繁に連れて行ってもらって、小さい頃から優れた音楽を聴く機会を得ていた。著名な音楽家と直接交流もあったという。そういう家庭環境で育った子供が大人になってジャズのサックスを吹く。エディソン賞を三回受賞するのもむべなるかなだ。

