2007年 02月 21日
Terje Isungset 2/20 Pit Inn 公演 |
東京での二日目の公演は新宿の Pit Inn で行われた。音楽以前に「音」自体にうるさいテリエにとってPit Inn は非常に演奏しやすいところだったようだ。公演終了後、ステージ上でのモニターから出る音を大変褒めていた。これまで世界中で演奏してきたが、もっとも自分が作りたいと思う音が出ていたとのことだ。一方、お客様が聞くPA側の音も素晴らしく、石と石を擦る音や、とても小さなベルを鳴らす音など繊細な音をうまくとらえていた。
テリエはノルウェーのGeilo(ゲイロ) という山の村の出身だ。父親は非常にうまいアコーデオン奏者だったそうだが、職業としては農業を営んでいた。冬が長いGeilo では小さい頃より雪や氷と親しんで過ごしたようだ。何の物音をしない森や山の中を深い雪を踏みしめながら長い距離を歩いたり、ノルディック・スキーを履いて延々と移動したりと、自然に抱かれて成長したからだろうか、とても音に繊細でこだわりをもっている。
実際、テリエはステージ上でのドラム類やパーカッション類のマイク設置位置やマイクで拾う音の周波数帯域など細かに指示を出している。石や木といった自然素材での音作りはそういう慎重さをもってしなければ良いものはできないのだ。自然とともに育ったテリエだからこそ、そういう素材を扱えるということもできる。
共演した一噌幸弘は日本の伝統的な音の世界を踏まえつつ、和洋の間をときにすばやく、ときにゆっくりと行きかい、或いはテリエに沿い、或いは彼を挑発するかのように能管を鋭く炸裂させた。指使いの凄さ、息継ぎの妙味、ユーモアを交えた意外な展開も含め、やはり日本を代表するミュージシャンだ。能楽の世界での子供時代の教育については不勉強にして知らないが、本物の伝統世界での鍛えられ方はやはり半端ではないと思う。テリエも一噌幸弘にはノルウェーの伝統楽器ハルダンゲルの第一人者と同様の空気を感じると言っていた。
ともに1964年、東京オリンピックの年に生まれた二人が2007年東京で初めて出会った。これから先の展開がとても楽しみだ。
写真:前沢春美

テリエはノルウェーのGeilo(ゲイロ) という山の村の出身だ。父親は非常にうまいアコーデオン奏者だったそうだが、職業としては農業を営んでいた。冬が長いGeilo では小さい頃より雪や氷と親しんで過ごしたようだ。何の物音をしない森や山の中を深い雪を踏みしめながら長い距離を歩いたり、ノルディック・スキーを履いて延々と移動したりと、自然に抱かれて成長したからだろうか、とても音に繊細でこだわりをもっている。
実際、テリエはステージ上でのドラム類やパーカッション類のマイク設置位置やマイクで拾う音の周波数帯域など細かに指示を出している。石や木といった自然素材での音作りはそういう慎重さをもってしなければ良いものはできないのだ。自然とともに育ったテリエだからこそ、そういう素材を扱えるということもできる。
共演した一噌幸弘は日本の伝統的な音の世界を踏まえつつ、和洋の間をときにすばやく、ときにゆっくりと行きかい、或いはテリエに沿い、或いは彼を挑発するかのように能管を鋭く炸裂させた。指使いの凄さ、息継ぎの妙味、ユーモアを交えた意外な展開も含め、やはり日本を代表するミュージシャンだ。能楽の世界での子供時代の教育については不勉強にして知らないが、本物の伝統世界での鍛えられ方はやはり半端ではないと思う。テリエも一噌幸弘にはノルウェーの伝統楽器ハルダンゲルの第一人者と同様の空気を感じると言っていた。
ともに1964年、東京オリンピックの年に生まれた二人が2007年東京で初めて出会った。これから先の展開がとても楽しみだ。
写真:前沢春美
by invs
| 2007-02-21 17:35
| Terje Isungset