Three Friends 日本公演は、12/18-19、東京青山のライヴハウス「月見ル君想フ」で行われた。

12/18公演
二回目の来日、都合3回の公演は70年代のGentle Giant が持っていた強烈なグルーヴと叙情性の絶妙なミックスを忠実に再現していた。現在既にかなりのバンドからロックの持つダイナミズムやドライヴ感が失われてしまったように感じていただけに、Three Friendsの演奏は当時のブリティッシュ・バンドが共有していたロックの力強さを再認識させた。
特に拍の頭(一拍目)をシンコペーションしたり、前小節から続くリフの頭を次小節の最初の変拍子の一拍目に持ってくる得意技では、バンド全体のアンサンブルも含めて「バンドが一体」となっている必要があるから、余計にアナログ的なアプローチが際立ってくる。デジタル・メトロノーム的正確さはかえって邪魔になり、微妙な拍の取り方をバンドメンバー全員が身体的に覚えておくことが必須になる。懐古趣味的・ナツメロ的感想は慎むべきだが、あのグルーヴ感は間違いなく70年代のものだろう。
そしてグルーヴ感の基本的担い手はGary と Malcolm の元Gentle Giant メンバーだ。そして、今回の来日公演ではバンドが昔日のGentle Giant 同様、5人編成となったことが大きく寄与している。バンドは人数が多ければ多いほどアンサンブルに気をつけねばならず、それだけ各メンバーの自由は制限される。前回来日公演の7名編成よりはるかにフリーになり、Gary と Malcolm はそれを十二分に消化していた。

12/18公演、3人でドラミング
初日の18日は、一部機材が会場に届くのが遅れ(ヨーロッパでの貨物トラブル)、臨時対応で演奏しなければならなかったなど、苦しいところもあったが、全体としてバンドの士気は高く、新メンバーのGary Sanctuary (Sting, Alan Parsons Project のツアーメンバー)も難しい楽曲にもかかわらずよく頑張っていた(持参キーボードの到着が遅れ、全面的にプログラミングをやり直し)。19日は昼・夜の二回公演だったが、ともにバンドのノリはよく、Gentle Giant の曲の醍醐味がよく伝わってきた演奏だった。夜公演では、Gentle Giant のアルバム"Three Friends" に収められている全曲を通し演奏したが、これは世界初のことだった。

3回の公演には全国よりファンの方が集った。19日のファン・イヴェントではサイン会はもとより、バンドとの交流がはかられた。Three Friends はファンの方との親睦を大変重要視していて、気軽に写真撮影に応じたり、質問に答えたりしていた。
Three Friends のオリジナル曲制作について、Garyは「決心している」と言っていたので、彼らの今後が楽しみだ。次の来日はいつになるかわからないが、今回のライヴは大勢のファンの方の脳裏に長く焼きつくことだろう。

12/18公演
photos: 前沢春美