2025年 11月 07日
プロのジャズ・ピアニストのジャズ・インプロヴィゼーションを脳科学的に研究 |
ジャズ・インプロヴィゼーションに関して脳科学的研究があると知り、調べてみた。
以下、「自発的な音楽パフォーマンスの神経基盤:ジャズ即興演奏における fMRI 研究」 (Neural Substrates of Spontaneous Musical Performance: An fMRI Study of Jazz Improvisation) Limb, C. J. & Braun, A. R. (2008). PLoS ONE, 3(2): e1679. より、その「要約」を和訳した。
正式名称は PLoS ONE(Public Library of Science ONE)というオープンアクセスの科学誌で、論文のオンライン公開日が 2008 年 2月 27日となっている。
もう論文が出てから 17 年も経っているわけだ。
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要約
自発的な音楽パフォーマンスの神経基盤を調べるために、プロのジャズ・ピアニストを対象に機能的 MRI(fMRI)を用いて即興演奏を分析した。
音楽的複雑性の大きく異なる2種類の課題を用いた結果、即興演奏(既に学習された音楽フレーズの演奏と比較して)は、一貫して前頭前野内で特徴的な活動パターンを示した。
すなわち、背外側前頭前野(dorsolateral prefrontal cortex)および外側眼窩前頭領域(lateral orbital regions)の広範な非活性化(脱活性)と、内側前頭前野(medial prefrontal cortex、前頭極部)の限局的な活性化である。
このようなパターンは、即興演奏に必要とされる心理過程――すなわち、外的刺激に依存しない内発的で自律的な行動が、自己監視や意識的・意図的な統制を担う中枢プロセスが抑えられた状態で展開する――ことを反映している可能性がある。 また、即興中の前頭前野の変化には、音楽演奏の構成や運動実行を担う大脳新皮質の感覚運動領域の広範な活性化と、動機づけや情動の調整を司る辺縁系構造の非活性化が伴っていた。
このように広がった神経的パターンは、自発的な創造的活動が生じるための認知的コンテクスト(枠組み)を提供していると考えられる。
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背外側前頭前野および外側眼窩前頭領域の広範な非活性化(脱活性)と、内側前頭前野 の限局的な活性化、つまり脳内領域の二か所が活動(抑制と活性)ー 一方で自らを客観的にコントロールせず、また一方で思いっきり弾くという行動をしようとする脳の動き ー が見出されている。
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by invs
| 2025-11-07 13:57
| 「その他」の重さ













