昨夜、Nik Baertsch/Ronin (ニック・ベルチュ/ローニン)公演が東京青山にある CAY で行われた。
新譜リリース後すぐのツアーで来日という絶好のタイミングだ。ヨーロッパ各地で2週間以上に亘り公演、締めくくりが日本という形になった。今回は専属音響エンジニアだけでなく、専属照明エンジニアも帯同、完全型での日本公演だ。
真っ暗な中登場したRonin のメンバーは、抑えられた照明の中、顔が見えない。それが演奏とともに徐々にはっきりしてくる。音が昨年の来日公演より一回り以上成長した感じがする。ダイナミズムとグルーヴは当然ながら、「切れ」が凄くなっている。非常にタイトな演奏だ。ピアノ、ドラム、パーカッション、ベースそしてバス・クラリネットの個々の楽器が非常に密に連なる感じと言ったらいいだろうか。特に、キメのパートでのパーカッシヴな仕上げがいい。
最初の二曲が終わったところで、メンバーの紹介があった。今回は急遽Bjoern に代わり、Thomy Jordi (トミー・ヨルディ)がベースに入った。Bjoern の奥様が大手術をするということでスイスを離れられなかったのだ(アメリカ公演もThomyが行く)。ThomyはRonin の古い時代からずっと一緒に活動しているミュージシャンで、地元チューリッヒでの演奏によく参加している。Ronin の正式メンバーといっても過言でないほど、曲を熟知している人だ。
Ronin の照明エンジニアは素晴らしかった。本当に要所にしか大事な照明を使わない、「適材適所」の見本のような演出だった。持参した特殊照明は二種類あり、それらがステージ上にきちっと配置されていた。これは定型があり、どの公演でも基本的な照明スタイルが決まっている。すべて演奏内容と連動し、変拍子や変わった展開が多いRonin にぴったりと寄り添う。並みの腕前ではない。
新譜 Llyria からの新曲も披露された。以前よりサックスの使い方が増えている。パーカッションも種類が増え、使い方がより細かい。ピアノのNikは反復だけでなく、和音系の弾き方が面白い。ドラムとベースのリズム・セクションは落ち着いたリズム・キープとドラマチックな展開点での盛り上げがうまい。
大変充実したコンサートだった。バンドメンバーもよかったと言っていた。アンコールが3回もあった。単にサービスということではない、温かく見ていただいたお客様への御礼だろう。深々とお辞儀をし、大きな拍手に送られてステージを去った。
さて、今夜はPit Inn での最後の演奏だ。どうなるか。