Real & True Live Series Petteri Sariola (ペッテリ・サリオラ)の公演が昨夜Pit Inn で行われた。完全単独の公演はこれが日本で初めてだ。
全身から溢れ出るエネルギー、凝縮された濃い時間を堪能した。幾つかの変則チューニングとディープでグルーヴ感に満ちたベース・ドラムを基本に、でもいわゆる「テクニック」をことさら見せつけはせず、むしろ心の赴くままのごく自然な振舞い。そんな Petteri の演奏はいつ見ても驚きで一杯だ。
心と身体とギターが一体化している。単なる「一人バンド」といった形容では済まない。人間とはここまでできるものなのだ。愛嬌一杯、アドリブのユーモアとウィットも十分、とってつけた「エンタテインメント」とは次元が違う。Petteri そのものが人を魅了する。
デビューCDからの曲の他、新曲も幾つか披露した。また、インプロに富んだブルース(と彼は呼んだ)曲も二つ。前回の5月公演を越えて着実に進化している。今回は歌の曲も増えて、彼が素晴らしいシンガーであることが更にはっきりした。
ことさらに家系云々を言うつもりはないが、どう考えても24才の天才ミュージシャンの背景にはフィンランドの名音楽一族が見てとれる。この間、40人ほど一族が集まる会が数年ぶりであったそうだが、そのときもジャム・セッションになって楽しかったと言っていた。Petteri の父親はクラシックのチェロ奏者、母親はその両親(つまりPetteri の祖父母)とともに全国的に知られた子供シンガーだった(今も音楽を教えている)。5月に Real & True Live Series で来日した Oddarrang(オッダラン)のリーダー、Olavi (オラヴィ)も、そのバンドのチェロ・プレイヤー Osmo (オスモ)もPetteri の従兄弟だ。
鮨や刺身が大好きなPetteri 、日本は肌に合っているらしい。今夜は青山の「月見ル君想フ」で公演となる。