タダならぬ音楽三昧

Echo Jazz 賞ノミネート

ドイツ・レコード・アカデミーが授与する三つの賞のうちの一つ、Echo Jazz 賞のノミネートが発表された。2010年より毎年贈られている。

2016年のノミネートに Real & True Live Series 出演者が入っているので、以下リストアップしておく。表記は部門、ミュージシャン名/バンド名、受賞アルバム、Real & True での演奏の順だ。受賞式は 5/26 にハンブルグのKampnagel にて行われる。

＊ドイツ国内アンサンブル
Michael Wollny feat. Eric Schaefer & Christian Weber
NACHTFAHRTEN
ドラムのEric Schaefer がJohnny La Marama として来日出演した他、Ulrike Haage とのデュオでも出演している。

＊ドイツ国内楽器演奏者-　ドラム & パーカッション
Eric Schaefer
NACHTFAHRTEN （Michael Wollny feat. Eric Schaefer & Christian Weber）
バンドがノミネートされただけでなく、Eric 自身もノミネートされている。photo:Grosse_Geldermann

＊ドイツ国内楽器演奏者-　ギター
Kalle Kalima
TENORS OF KALMA
ドラムのEric Schaefer 同様、Johnny La Marama として来日出演している。尚、本人はReal & True Live Seriesに出演していないが、共作しているバンドがReal & True Live Series に出演したのは

＊楽器奏者 - 特別な楽器
Adam Baldych
BRIDGES　（Helge Lien Trio との共作）
昨年来日したノルウェーのトリオとベルリンで録音した新譜photo:Gregor Hohenberg

音楽のブラックホール - Splashgirl のライヴを見て

Splashgirl の「音楽」は音楽というツールを使った哲学的試みの側面が強い。多分に抑制が効いた作曲と演奏は、一見これまで慣れ親しんだ音楽的構造を維持しているように見えながらも、一般の音楽が持っている通常の「楽しみ」や「エンタテインメント」からの離脱を目論んでいる。悲しみや楽しみ、憂いや癒しという直接的表現から敢えて離れ、音を使ってどこまで抽象化へ至れるか試しているようだ。そういう意味では、音楽的解決を解体する、「危険な」バンドだ。通俗的な態度で臨めば、欲求不満に陥るだろう。

こういう方向性は、過去のReal & True Live SeriesではノルウェーのピアニストChristian Wallumrød ソロ公演にその最極北を見たが、ベルリンから来日したJohnny La Marama もジャズの解体を進めていたし、もっと言えば今やモダンECM を代表するようになったNik Baertsch のバンド Roninにも、グルーヴというエンタテインメント性は残しながらも、音をツールとして哲学へ昇華させようという意識は感じる。

音楽が歴史的に果たしてきた役割の裏を行こうという、これらの過激な「音楽」を目の当りにすると、音楽宇宙のブラックホールに遭遇したような気がしてくる。さて、ここに吸い込まれたら二度と出てこられないのか。

Eric Schaefer - 受賞歴、バンド

10/20 Ulrike Haage とともに Pit Inn でデュオ公演を行うドラマーの Eric Schaefer は今回で Real & True Lives Series 出演三回目となる。最初の二回はやはりベルリンを拠点とするトリオ Johnny La Marama のドラマーとしてだった（前回、東京公演についての感想）。

Eric は受賞が多い。

＊2011 Jazz-Echo 賞　国内ベスト・ドラマー
＊2011 Jazz-Echo 賞　ベスト・ライヴ・アルバム　グループ [em] Wollny/Kruse/Schaefer
＊2011 Neuer Deutscher Jazzpreis （新ドイツ・ジャズ賞）グループ [em] Wollny/Kruse/Schaefer
＊2010 SWR（Südwestrundfunk：ドイツ南西テレビ放送局） Jazz賞
＊2009 BMW-世界ジャズ賞
＊2007 イギリス Ronnie Scott´s ジャズ賞 「最も期待できる国際的な新人」　グループ [em] Wollny/Kruse/Schaefer
＊2005 Karl-Hofer 賞　 „HENOSIS“　作曲

参加グループ
[em] Wollny/Kruse/Schaefer 　　　 試聴
Johnny La Marama　　　試聴　　2010年来日ライヴ　　YouTube 映像（Pit Inn 公演）
Arne Jansen Trio　　　試聴

Ulrike Haage + Eric Schaefer duo
試聴
ライヴ　曲 “Fingerprints”
ライヴ　曲 “Magic Waters”　
ライヴ　曲 “Evocations” 　

Carsten Daerr Trio 試聴

Johnny La Marama 日本公演ライヴ映像

ベルリンの「トンデル」バンドJohnny La Marama の前回来日公演のライヴ映像がある。2010年、青山のライヴハウス「月見ル君想フ」で演奏されたものだ。曲は"Return of the Space Skum" 。ステージ上の映像は VJ の岩崎裕和が制作している（ライヴに合わせて即興映像も投影）。

　

湯山玲子氏のブログにSkaidi と Johnny La Marama

新年早々、湯山玲子氏の公式ブログ「湯山温泉」2011年1 月 4日 (火)記事にReal & True Live Series に出演したSkaidi と Johnny La Marama について『相変わらず継続中の美人寿司は、なんと、ノルウェーのSKIDIとベルリンのジョニー・ラ・マラマというワールドミュージック&ジャズの俊才たちとコラボすることができて、その動きは自分の中の”自家薬籠”を徹底していく、という意識。何よりも、「やっと、自分が本当にやりたいことが分かった」という気持ちが固まった一年だったのです。』と書いていただいた。

去年は、いろいろとお世話になった。今年も「とんでもない」ことを一緒にやりたく。

Johnny La Marama 公演レヴュー

9月に東京で開催されたJohnny La Marama （ジョニー・ラ・マラマ）の公演レヴューがネットサイトの Jazz Tokyo に掲載された。オープニングアクトの日比谷カタンについてもレヴューされている。

Johnny La Marama （ジョニー・ラ・マラマ）- 23日東京公演評

Johnny La Marama （ジョニー・ラ・マラマ）の9/23東京公演評を拾ってみた。

TFJ's Sidewalk Cafe　　Thu Sep 23 23:31:06 2010　

kf's kulturdreieck　　　　2010-09-24 11:11

ちなみに、去年の来日公演評（Blog　ロマンチックホテル　2009年10月9日）を参考までに。

Johnny La Marama （ジョニー・ラ・マラマ）- 9/24-25 足利公演

ベルリンのトリオ、Johnny La Marama （ジョニー・ラ・マラマ）の 足利公演が9/24-25、ジャズクラブの Jazz Ornette で行われた。

JR足利駅近くにあるJazz Ornette は70年代より続くクラブだ。一見、普通のクラブだが、建物の作りや内装のせいか音が非常にいい。固定ファンもいて、なかなか活気のある場所だ。ここが9/24-25両日、満員となった。

店内のステージ・エリアはPA機材一式とバンドの機材で足の踏み場もないほどとなった。入場されるお客様のために一時的に機材を横にどけたり、PAエンジニア、VJ 岩崎の場所を狭めたりと日本的対応をして凌いだが、バンド・メンバーの演奏スペースとしてはこれが本当のミニマムだ。そういうことで、9/24のステージセットアップとサウンドチェックは大変だった。

両日とも、非常にいい演奏だった。ステージ・エリアの狭さが逆にバンドの一体感を高めたようだ。もともと緻密に作曲されている上にインプロヴィゼーションが巧みにのっているので、ひとたび曲に熟達すれば、各ステージでの演奏は安定したものになるのだが、バンドとしてのエネルギーの集積は各ステージごとに大きく異なる。会場のある場所、会場の雰囲気や設備、オーディエンスの反応、その時のバンドの体調や精神状態など多くの要素が影響する。それぞれがポジティヴなエネルギーをメンバーへもたらせば（メンバーがそういう風に感知すれば）、演奏は自ずといいものになる。Jazz Ornette での二日間は、そういう意味でエネルギッシュだった。

Johnny La Maramaは「聴く人を裏切る」、「通常の音楽的展開をわざとはずす」方向で作曲をしているので、普通言う「ノリ」は悪くなる。ところが、バンドのエネルギー集積が高まると、裏切られているのに、エネルギーで圧倒されるという状態が出てくる。ここが普通のバンドと大きく違うところだろう。「音楽進行のノリ」が悪いのに「エネルギーのノリ」がいいのだ。

「エネルギーのノリ」がいい時の、バンドのお得意の曲 "Space Skum"はストーリー性があるだけに、こちらは演奏の中に劇的に取り込まれてしまう。「宇宙での事件」が身近に感じられるのは、このバンドが現実でないものを現実に呼び込むことができるからだろう。

Johnny La Marama （ジョニー・ラ・マラマ）- 9/23東京公演

昨日、Johnny La Marama （ジョニー・ラ・マラマ）の東京公演が青山のライヴハウス「月見ル君想フ」で開催された。

オープニングアクトは日比谷カタン、これまで以上に激しく、ねじれながら知的でユーモラス、かつジャンルレスな演奏だった。「J-POPコーナー」では「まほろば」の紹介が日英語で逐語紹介され、しゃべりの方も全開となり、自虐、自意識、無意識が交錯するカタン空間が出現した。ここまで行けば、ヨーロッパでの本格的ツアーも射程距離だろう。Johnny La Maramaは初日ながらも、パワー一杯、容赦ない「詰め込み」と「脱力」、ジャズ・イディオムをかろうじて維持しながら、これもジャンルレスに縦横無尽の疾走状態となった。ある形の「意味」が見えるようになる寸前で「切断」して、音楽を「意味」から切り離そうとする試みは、聴く側に大きな心の余裕を要求する。敢えてそれを行ったうえで、バンドを評価して欲しいという「バンドの裸の姿」、虚飾を捨てた音楽を作っていこうとしているように見える。

VJ 岩崎の繰り出すインプロを含む映像は、バンドのインプロヴィゼーションと絶妙にシンクロし、通常のVJの枠を軽々と超えていた。Johnny La Maramaに「天才」と呼ばれた所以だろう。

今日はこれから足利に移動、二日目の公演となる。Jazz Ornette では大勢の方々とお会いできることを願っている。

photos: 前沢春美

Johnny La Marama （ジョニー・ラ・マラマ）- 本日昼間東京公演

本日昼間、Johnny La Marama （ジョニー・ラ・マラマ）の東京公演がある。

昨日はVJとの打ち合わせだったが、音楽と映像のコラボは非常にうまくいっている。Johnny La Marama の3人は異口同音に「（VJの）"Hiro" 岩崎は天才だ。われわれの音楽をこれほどまで理解して映像を作ったVJはこれまで誰もいなかった」と大変褒めていた。やはり"Hiro" が素晴らしい作曲家でありキーボードプレイヤーでもあることが、いい映像の制作につながっている。

今日はツアー初日、全員大変な意気込みで臨む。ドラマーのEric は日本オリジンの「水留音」（陶製の楽器）の演奏を日本で披露できることを大変嬉しく思っている。バンド用に新曲も用意された。

雨の祝日となったが、開場12:00/開演12:30、会場でお待ちしている。会場の「月見ル君想フ」の電話は03 5474 8115 となっている。