タダならぬ音楽三昧

Europe Jazz Media Chart - 4月のチャート発表

今月のEurope Jazz Media Chart が発表された。このチャートはヨーロッパのジャズ・マガジンやウエブなどから構成される Europe Jazz Media という組織が作っている。ビジネスへの配慮はなく、純粋に音楽で選ぶ非商業的なチャートだ。

今月のチャートには Real & True とゆかりのあるアーティストが選ばれている。リストアップされた12名のアルバム中、4 名のアルバムが過去のReal & True Lives Series 出演アーティストのものだ。以下、アーティスト名、アルバム名 " "、レーベル（　　）、Real & True 関係アーティスト（来日時）名の順でリストする。

* ERIC SCHAEFER & THE SHREDZ "Bliss" （ACT）
ドイツのバンド Johnny La Marama のドラマーがEric Schaefer。ピアニストの Ulrike Haage とのデュオでもReal & True Live Series に参加している。* MOSKUS "Ulv ulv" （Hubro）
ノルウェーの新進バンド Moskus （ピアノ・ベース・ドラム）のニュー・アルバム* TIM GARLAND "One" （Edition Records）
Tim はイギリスの Bill Bruford's Earthworks のサックスプレイヤーだった。今はChick Corea のバック・バンドメンバー常連。* PER ODDVAR JOHANSEN "Let's Dance" （Edition Records）
Helge Lien Trio、 Christian Wallumrød Ensemble, Ayumi Tanaka Trio のドラマーの最新ソロ作品。

Splashgirl の来日ツアー - 本日、最終日

ノルウェーの三人組 Splashgirl の来日ツアーがいよいよ最後の日を迎えた。今夜の柏 Nardis 公演で彼らの行脚は終わる。

哲学者の如く、信ずる道を進み世に自らの理を説く。昨夜の京都 RAG でのライヴで同じステージに立った日本のミュージシャンの方が話されていたが、己に「よほど自信がないと（Splashgirl のような）演奏はできない」というぐらい、徹底して一般的・通俗的エンタテインメント性を排している。むしろ、その世俗抵抗力をこそオーディエンスに真の精神的享楽（エンタテインメント）として提示したいということだろう。

確かに、ここ10 年ほどぐらい、オーディエンスに真剣なリスニングを求める音楽は増えている。スイスのNik Baertsch による Ronin もそうだ。注意して聴いていないとわからない微細な音楽的変化の連続を一つのアイデンティティにしている。昨年来日したノルウェーのMoskus にもそれを感じる。当然、これらの動きは世のライヴ音楽が過度に商業主義的エンタテインメントへ傾いていることと無関係ではない。一種のカウンター・バランスと言ってもいい。因果律はここでも働いている。

Atomic - ニュー・アルバム試聴

昨年11月 Real & True Live Series 出演のため、バンドMoskus のメンバーとして来日したドラマーのHans Hulboekmo が、Moskus に加え、バンド Atomic に入って初のアルバム "Lucidity" が3/17 にリリースされている。Håvard Wiik: piano
Fredrik Ljungkvist: tenor and Bb clarinet
Magnus Broo: trumpet
Ingebrigt Håker Flaten: bass
Hans Hulboekmo: drums

新譜から数曲試聴できる。

ライヴが 4/23 と 4/29 に予定されている。会場は、前者がスウェ―デン・ストックホルムの Fasching で、後者がスイス・ベルンのTurnhalle im PROGR だ。右端がHans Hulboekmo

Hans と去年話した時、日本の雅楽に大変興味を持っていると言っていた。とてもインテレクチュアルな人だった。

Moskus - 東京公演、ライヴ写真

昨年11月に行われた Moskus のライヴ写真（11/20、代官山「山羊に、聞く？」）を掲載する。

オープニングは太田惠資がピアノの石田幹雄とデュオで登場した。

photos: 前沢春美

本日Moskus 来日ツアー最終日

今日は Moskus 来日ツアーの最終日だ。会場は柏にある Nardis で、昼間の公演となる。

昨夜の横浜での公演は、とても洗練された「新型音楽」ともいうべきライヴだった。既存のフリー・ジャズに比べると、はるかに楽器間や演奏者同士の「協和性」を重要視しているが、メロディーやリズムは、音楽としての「構成」を意識的に壊し、むしろ「音そのもののが音楽へ移行する」段階を演奏表現そのものにしようとしているように感じた。

誤解を恐れずにいえば、「つっかかり音楽」だ。何事もスムーズには演奏されない。「ノラナイ」音楽だから、ノルことを重要視するリスナーにとっては相当のフラストレーションになるだろう。ビートは生じさせない。きれいな、先が予測できそうなメロディーラインは現れない。だが、一つ一つの進行が「つっかかる」のを聴きながら頭の中でつっかかりの裏を補填していくと、そこには別の世界が開けてくる。ここは、通常のエンターテインメント性からは離れ、一音一音を確実に聴き留めながら、音が音楽になる過程を自らの頭で構成するのがいい。ゆったり座ってリラックスして聴くことは、Moskusの音楽を理解するためには妨げになる。積極的に脳内の「音作り」に参加する覚悟が必要だ。

まったくもって恐ろしい音楽が出てきたものだ。あきらかに新次元、この表現に偽りはない。

今日の公演では当日券が発売される。

Moskus 来日ツアー、本日、横浜公演

昨夜の神戸公演を終え、ノルウェーのバンドMoskus が関東圏に戻ってくる。今夜は横浜の Airegin が会場だ。ジャズ・クラブの老舗、「なんでも」フェスの主催者がオーナーという好環境だ。Moskus こそ「何でも」が相応しい。もちろん、なんでもありというのはなんでもやっていいということではない。むしろ、自らの音に縛りを入れることによって浮き出てくるものを探す。

彼等こそノン・ジャンルの先端にいる。音楽のリミットをじわじわと広げていく覚悟がある、大変勇気のあるバンドだ。まだ20代そこそこの彼等を応援したい。

Moskus 公演 - 本日初日

Moskus 公演、初日の今日は東京代官山にある「山羊に、聞く？」で開催される。

現在進行形のそのまた先端を行くノルウェーの三人組をとらえて、音楽の今を感じよう。

Moskus - 来日ツアー、明日スタート

Moskus 公演が始まる。

デビューしてわずかの間にノルウェーのグラミー賞といわれるSpellemann　賞に二部門同時ノミネートという快挙を遂げたトリオだ。トリオといっても、通常のジャズ・トリオと出てくる音が違う。ライヴ演奏では作曲部分とインプロヴィゼーションの部分の棲み分けを敢えてせず、境界線上の不透明で危険な部分を意識的に歩む確信犯だ。

Moskus 各種ヴィデオ
Moskus プロモーション・ヴィデオ

ヨーロッパの音楽メディアに高く評価され、次世代ノルウェー・ジャズ（といってもノルウェーの「ジャズ」は普通のジャズではないが）の代表として頭角を現してきた。今回が初来日公演となる。メンバーのうちドラマーのHans Hulbækmo はノルウェーとスウェ―デンのメンバーで構成される著名バンド Atomic の新規メンバーとしても活躍中だ（最新ヴィデオ）。

ツアーは明日、東京代官山の「山羊に、聞く？」でスタートする。

Hubroレーベル所属アーティスト・コンサート・ストリーミング

レーベル設立5周年を記念してHubroレーベルが所属アーティストのコンサートをオスロのNasjonal Jazzscene, Victoria で開催する。これに合わせて、明日24日、オスロ時間で 20:00 よりライヴ・ストリーミングが実施される。

20:00 - Moskus
21:00 - Building Instrument
22:00 - Mats Eilertsen Trio

の順番でライヴ予定となっている。日本時間との時差に注意されたい。

ストリーミング・サイト

Real & Trueではこれまで以下のHubroアーティストの公演を行っている。

Mats Eilertsen "SkyDive"
Splashgirl
Huntsville

これに来月 Moskus が加わる。

Hans Hulbækmo

日本で人気があるノルウェーのドラマーPaal Nilssen-Love は長年参加していたバンド Atomic を今年脱退したが、その後任としてAtomic に加入したのは来月来日する Moskus のドラマー Hans Hulbækmo（ハンス・フルバックモー）だ。この名前は覚えておいていいと思う。ネット・サイト "Salt Peanuts" に掲載されたAtomic ドラマー変更の記事（英文）　

「7/21 、フランス・ナルボンヌでの1時間のサウンドチェック後、初めてAtomic とプレイした」